(金庭宜雄君) 議長のお許しをいただきましたので、入学準備金制度の在り方について質問をさせていただきます。
平成15年6月議会において、私は高校入学準備金制度の創設を求める質問をさせていただきました。
当時、議員になりたての私の元に、高校の入学準備のための学資金を借りる窓口はないでしょうかとの切実な御相談をいただき、調べたところ、どこにも解決手段がなく、会派の先輩議員に相談し、練りに練り上げ、議会質問に至りました。
当時の教育長からは、奨学金制度の見直しについて答弁をいただき、翌平成16年度から無利子で30万円を貸与する名古屋市入学準備金制度がスタートし、今年で20年が経過しました。
そこで、これまで名古屋市入学準備金制度の果たしてきた役割を振り返りつつ、今後の在り方について質問をさせていただきます。
高校の進学先が決定した後、新しい学校規定の制服購入代や教科書代、通学定期代など、入学のための準備をします。家庭の経済状況によっては、入学準備のためのまとまったお金をひとときに用意することが困難な場合があり、名古屋市では高校入学の準備金を無利子で貸与するという制度を構えています。これが名古屋市入学準備金制度であり、これまで多くの家庭の希望に寄り添ってきた実績を改めて高く評価するものです。
この間の対応状況を振り返ってみますと、制度の開始初年度は35人分の予算。応募倍率3.9倍でスタートし、その後、リーマンショックや東日本大震災など国の経済を揺るがす社会状況もあり、制度を希望する家庭が毎年増加していく中、それに応えるべく、名古屋市も、予算枠を増加対応して、セーフティーネットを拡大してきました。
現在、希望者のほとんどがこの制度を利用できていることからも、経済的に困窮する高校生家庭への支援策として、今後も必要かつ不可欠な制度であると改めて認識を深めているところであります。
一方、この20年間には、高校教育の無償化を目途とし、国をはじめ、名古屋市会においても様々な議論を重ね、教育奨励制度の充実が着実に図られてきました。
平成22年度には高校の授業料を無償化する国の高等学校等就学支援金制度が始まり、平成26年度から愛知県で高等学校等奨学給付金制度が、平成29年度から名古屋市奨学金制度が始まり、経済的困難を抱える世帯に対して授業料以外にかかる費用への給付が行われています。
また、令和2年度から国の就学支援金制度と愛知県の私立高等学校等就学支援金補助金が拡充され、私立高校への授業料無償化も中間所得層まで拡大されました。こうした就学奨励制度の充実化が進む中、本市の入学準備金制度は平成25年度の404人の応募者をピークに、昨年度は209人と応募者数の減少傾向が顕著であります。
そこで、教育長にお尋ねいたします。
名古屋市入学準備金制度が開始して20年が経過しましたが、教育委員会として入学準備金の現状と課題についてどのように認識しておられるのか、お答えください。
あわせて、社会情勢の急激な変化や他の就学奨励制度の状況を踏まえ、令和の時代に適合した入学準備金制度の在り方について検討する時期が来ているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
教育長の御答弁を求め、第1回目の質問といたします。(拍手)
教育長(坪田知広君) 教育委員会に対しまして、入学準備金制度の在り方についてお尋ねをいただきました。
入学準備金制度は、入学金や学用品費等の高校入学に必要な学資を、入学前の段階において、無利子で貸与することで高校生の進学を支えてまいりました。
平成16年度の創設以来、令和5年度末までに、計3,887名の方へ支援を重ねてきた実績があり、教育の機会確保の観点からも非常に意義のあるものと認識をしております。
しかしながら、現状といたしましては、この20年の間に、国や県において、様々な就学奨励制度の拡充が図られている中で、貸与の申請者数は年々減少を続けております。
また、入学準備金の返還につきましては、未収債権の増加といった運用上の課題を抱えているところでございます。
議員御指摘のとおり、こうした現状や課題、そして社会情勢の変化等を鑑みますと、入学準備金制度も時代に即した形での見直しが必要な時期に来ているものと考えております。
教育委員会といたしましては、今後の入学準備金制度の在り方につきまして、国や県の就学奨励制度の状況や有識者の意見等を踏まえ、奨励制度全体の在り方の見直しも視野に入れながら、検討してまいりたいと存じます。
(金庭宜雄君) 教育長より、教育機会の確保の観点からも非常に意義のある制度であるとの御認識の上で、時代に即した制度になるよう、奨励制度全体の在り方の見直しも視野に検討してまいるとの大変力強く前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございます。どうか多角的な見地から、しっかりと検討をしていただくよう、強く要望させていただきます。
次に、以下の点に触れつつ、再質問させていただきます。
子供の学びの機会を名古屋市がしっかりと応援していく中、国における2023年の合計特殊出生率は1.20と過去最低を更新し、愛知県においては1.29と少子化は深刻度を増しています。政府のこども未来戦略加速化プランにおいて、教育費の負担は少子化の大きな要因の一つであるとし、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化が求められております。
とりわけ、教育費負担の軽減は、教育機会の確保のみならず、本市の少子化対策としても大変重要な検討課題であります。
私たち公明党は、子供政策を政治の柱に据えた社会の実現と、少子化、人口減少を克服するための具体策を示した子育て応援トータルプランにおいて、妊娠時から出産、子育てまで切れ目のない支援の充実を掲げて、義務教育段階では就学援助の中間所得層までの対象拡大や、高校生段階においても高校生等奨学給付金の中間所得層までの段階的な対象拡大を掲げております。
そうした中、本市教育委員会においては、今年度から就学援助を中間所得層まで拡大したことは大いに評価するものですが、高校生段階ではさらなる教育費の負担が重くのしかかる。そして、その厳しさを増すことになります。
また、文科省の給付型奨学金制度検討チームの議論のまとめでは、貸与型奨学金については、社会に出た後の返還負担に不安を覚え、奨学金を受けることをちゅうちょする学生がいることが指摘されているとあります。
これは先ほどの教育長の答弁にありました、名古屋市でも奨学金の返還に未収債権の増加があるという現状と符合します。
これから判断して、私は、切れ目のない就学奨励制度の充実を図る上で、今こそ給付による入学準備金制度への拡充を早急に検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。教育委員会を所管する松雄副市長の明快なる答弁を求めます。
副市長(松雄俊憲君) 入学準備金制度の在り方につきまして、給付による入学準備金制度の拡充について、私の考え、見解をお尋ねいただきました。
議員御指摘のとおり、合計特殊出生率は1.20と過去最低を更新し、現下の少子化の急速な進行は、まさに危機的な状況であると認識をいたしております。
国が令和3年に実施いたしました出生動向基本調査におきましては、理想の数の子供を持たない理由といたしまして、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」を選ぶ夫婦が最も多く、また、本市が令和5年に実施いたしました子ども・若者・子育て家庭意識・生活実態調査におきましても、経済的理由によって出産をためらう割合が、平成30年の前回調査時よりも高まっております。
実際に、子供の学習費総額は伸び続けており、子供を持つことへの経済的な不安感が高い現状にあっては、未来への投資となる就学奨励制度の充実は、こういった課題への対策の一つになり得るのではないかと思いを新たにしたところでございます。
振り返れば、令和4年2月定例会におきまして、高校教科書無償化に関する公明党名古屋市会議員団の代表質問に対しまして、私は、教育費の負担軽減の在り方について課題を整理し、本市としてどういった対応ができるのか、鋭意議論してまいりたいと答弁をいたしました。
それ以降、教育委員会とも就学援助の中間所得層への拡充など、様々検討を重ねてまいったところでございます。
喫緊の課題である少子化への対応につきましても、教育や子育てにかかる保護者負担の軽減は急務だと考えております。
次期総合計画案の中でも、重点戦略として子育て支援施策を幅広く盛り込んでおりますが、安心して子供を生み育てることができる社会の実現に向けまして、引き続き、3副市長をはじめ、全庁的にしっかりと議論してまいりたいと存じております。
教育委員会を所管する私といたしましては、名古屋の将来を担う子供たちが家庭の経済状況にかかわらず多様な未来を切り開けるような就学奨励制度の充実に向けまして、議員御提案の給付による入学準備金制度の拡充につきましても、教育委員会と共にスピード感を持って検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
(金庭宜雄君) 松雄副市長より、給付による入学準備金制度の拡充に向けて、教育委員会と共にスピード感を持って検討を進めてまいるとの答弁をいただきました。
それでは、再度お尋ねします。いつまでに取りまとめるお考えなのか、目途の期限をお示しください。
副市長(松雄俊憲君) 入学準備金制度の在り方につきまして、見直し時期についての見解をお尋ねいただきました。
若者人口が急激に減少する2030年代に入るまでが、少子化傾向を反転できるかのラストチャンスとされ、次期総合計画案とも深く関連する本市の子どもの未来全力応援の取組といたしましては、令和8年度までを集中取組期間としております。
令和6年度は、教育費の負担軽減における先導的取組といたしまして、就学援助及び私立高等学校授業料補助の拡充を掲げたところでございますが、次なる方策につきましても、不断なく検討し、急速に進行する少子化の流れを何とか食い止める対策を加速させていかなければならないと考えております。
入学準備金制度の在り方につきましても、子どもの未来全力応援の取組の中でしっかり議論し、答えを出してまいりたいと考えております。
(金庭宜雄君) 松雄副市長、ありがとうございました。
子どもの未来全力応援の取組期間の令和8年度までを目途とし、不断なく検討されるとの御答弁ですので、どうか猛スピードで検討していただきますよう、よろしくお願いをいたします。
質問の中で、現行の貸与型奨学金の現状について触れましたが、私も大学入学時に国の学資ローンを借りて入学金などに充て、卒業後に返済していた拙い経験がございます。昭和の時代ですから金利も高く、とにかく返済に必死でした。大変でした。今では懐かしくもありますが、奨学金の返済をしながら頑張っていらっしゃる方の気持ちもよく分かります。
そして、入学準備金制度から20年たった今、名古屋市が大きな決断を示していただいたことは、子育てを頑張っている親御さんにも力強いメッセージを送ることとなります。
少子化対策は経済的支援だけで解決するものではないかもしれませんが、様々な就学奨励制度に加え、全国どこにもない手厚い名古屋市独自の入学準備金制度が整うことにより、たとえ一時的に家計が困窮する状況であっても、名古屋で子育てしたら教育費の心配なしという施策メニューが整うことは、教育費の負担軽減として大きな安心となるはずです。そして、少しでも名古屋の出生率の向上に寄与するのであれば、これほどうれしいことはありません。
名古屋の魅力とは何か。名古屋で学び、働き、暮らす、全ての名古屋市民が安心を実感できる施策の充実こそが名古屋市民の誇りであり、魅力であるべきです。この点を外さず、忘れず、名古屋市独自の新たな入学準備金制度として大いなる一歩を踏み出していただきますよう強く求め、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)