◆(こんばのぶお君) お許しをいただきましたので、通告に従いまして第125号議案「名古屋市放置自動車の発生の防止及び適正な処理に関する条例の制定について」と、第126号議案「名古屋市消費生活条例の一部改正について」の2件について質問をいたします。
放置自動車を絶対にさせない、許さないとの名古屋市としての姿勢を今こそ示すべきであるとの観点から、事前の発生防止策と事後の迅速な処理方策についてお尋ねいたします。
条例事項の放置の禁止には、何人も自動車を放置してはならないとあります。しかし、その精神を無視し、放置しようとする者に対して、この文言が果たして事前の発生防止につながる抑止力となるのでしょうか。さらに踏み込んだ方策が示されることで、より具体的な放置自動車の発生防止になるのではないでしょうか。条例では、所有者判明時においてのみ撤去費の求償や、撤去命令違反者に対する罰金の適用を明文化しております。そこで、さらなる実効性を高めるために、たとえ所有者でなくとも、自動車を廃棄、放置した者には過料を科すとの名古屋市独自の方策を検討すべきではないでしょうか。路上禁煙地区での喫煙者に対しては過料を徴収することが条例として施行されたところであり、同様に、所有者の有無を問わず、自動車を放置した者に対しての過料措置は事前の防止策として本市の姿勢を明確に示す上でも有用であると考えますが、この点についてお考えをお聞かせください。
次に、放置自動車の適正処理についてお尋ねします。大破と認定した自動車の即時撤去と、所有者調査から処理までの期間を最大6カ月と期間を規定したことは、現行の路上放置車両要領には規定されていなかった内容であり、一歩前進したと評価できます。しかしながら、実際に自動車を放置された当該地域の住民からは、一刻も早い撤去を求める声が上がっているのが現実であります。放置された自動車の周りには、やがて日がたつにつれ、粗大ごみや不燃ごみが積まれていくなど廃棄の連鎖を生み、まちの美観を損ねるばかりでなく、窃盗や放火など犯罪への連動が危惧され、市民の生活環境が著しく阻害されております。
こういった状況が私の地元の守山区を初め、市内周辺区に集中しているのが現実問題であります。警告書貼付から調査、処理までの期間は、たとえ6カ月間であっても、住民の方々は不安と不愉快の念を抱いたまま我慢をしなければなりません。そこで、迅速な処理についての方策として、市民からの通報後、直ちに放置自動車を一たん移動し、所有者の調査や廃物認定までの6カ月の期間中、他の場所での一時保管の措置を講じ、市民生活の安心・安全をまず第一に優先すべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上、事前の防止策と事後の迅速な処理策について、緑政土木局長にお尋ねいたします。
次に、消費者保護基本法の改正に伴い、消費者の自立の支援を規定する点につきましてお尋ねいたします。
ありとあらゆる情報がはんらんする今日においては、はがきやダイレクトメールによる文書情報に加えて、テレビコマーシャル、電話勧誘、訪問販売、携帯電話メールやパソコンEメール、インターネット情報など、まさに多岐にわたってさまざまな情報があふれ返っております。市民の消費生活においては、個人がそれぞれの情報を正しく認識し、それらを判別しなければなりません。判断の基準は、あくまでも個人の知識と経験の上から下されるものであります。こうした中、例えばインターネットや携帯メールなどは、小学生などでも簡単にアクセスでき、親の知らないうちに誤って操作したり、興味本位で契約してしまうこともあります。このように、知識や経験も浅く、責任能力の乏しい未成年者や、ますます複雑化する情報社会に戸惑いを覚える高齢者に対する自立の支援は特に重要であると考えます。
そこで、まず消費者トラブルの未然防止、あるいは拡大防止の点から、例えば知識不足による誤認に基づくトラブルを防ぐとともに、消費者被害を未然に防止するため、小中学校・高校生、高齢者、障害者など、それぞれの特性に応じた方策が必要と考えますが、どのような方策をお考えか、お尋ねいたします。
次に、一たん消費者トラブルに出くわしてしまった場合についてお伺いいたします。
今回の条例改正のもう一つの柱として、消費者被害の防止、救済への対応として、迅速かつ適切な情報提供を基本理念として位置づけております。消費者被害の未然防止、拡大防止を図るためには、最近特に目立つ手口などの情報を速やかに提供することが有効であることは言うまでもありません。本市では、消費者行政の窓口として消費生活センターが設けられております。ここに寄せられる消費生活相談件数の推移を見ますと、平成12年度に7,585件であったのが、15年度には1万6293件と、わずか3年で2倍以上の相談件数となっており、ますます増加の一途をたどっております。このためか、現実に消費生活センターに相談したくても、なかなか電話がつながらないといった声をよく耳にいたします。こういった中、具体的で、かつ的確なアドバイスを求め、不安を抱える消費者に対して、どのように迅速かつ適切な情報提供を行うことができるのか、お尋ねいたします。
またあわせて、消費者と事業者との紛争解決のための苦情処理について、どのように消費生活審議会があっせんし、活動していくのか、今回の改正によりどのようにより円滑な解決を図っていくのか、市民経済局長にお尋ねし、私の第1回目の質問を終わります。(拍手)
◎緑政土木局長(森本保彦君) 放置自動車に関連しまして、2点のお尋ねをいただきました。
まず、1点目の放置自動車の発生防止についてでございますが、放置自動車対策といたしましては、その発生防止策と適正な処理手続が二つの大きな柱であると考えております。そのうち本条例は、これまで長期間放置されていた放置自動車をいかに早く処分するかという点に重点を置き、条例化いたしました。また、発生の防止につきましては、市と市民、事業者等とが協働して対策を講じられるよう、それぞれの責務を定めておるところでございます。また、議員より放置自動車の発生防止策の一つとして、放置者等に過料を科してはどうかとの御提案をいただきましたが、適正な処理はもとより、発生の防止についての施策も重要な事項であると考えております。いずれにいたしましても、今回、安心・安全で快適なまちづくりなごや条例や本条例の制定、施行により、市民の放置自動車への関心が高まり、また自動車リサイクル法の施行も相まって、放置自動車が徐々に減少するものと考えております。したがいまして、一定期間放置自動車の状況の変化を検証し、その際、さらなる方策が必要となるときは、今回の御提案を含め、発生防止としての放置の抑止力となる方策を検討したいと考えております。
続きまして、2点目の迅速な処理についての方策でございますが、放置自動車の適正な処理といたしましては、今回これまで長期に放置されていた放置自動車をいかに早期に処分するかという観点から、移動、一時保管の手続ではなく、大破車や6カ月を経過した放置自動車を早期に処分するなど、実効性のある手続に重点を置き、条例化したところでございます。移動や一時保管を実施すると、一時的な効果は得られると考えますが、保管中の管理責任などに加え、再び放置がされるのではないかというおそれや、所有者の自主撤去の促進を損なうのではないかという懸念もございまして、慎重に検討を重ねてまいったところでございます。本市といたしましては、放置自動車を減少させるため、まずは本条例により放置自動車の早期処理に全力を挙げてまいりますが、放置自動車の状況の推移を見ながら、議員の御提案を視野に入れ、検討してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
◎市民経済局長(杉浦雅樹君) 消費生活条例の一部改正につきまして、数点のお尋ねをいただきました。今回の条例改正は、消費生活相談の増加・複雑化、商品等に対する消費者の不安の高まり、消費者保護基本法の改正を背景といたしまして、名古屋市消費生活審議会からの答申を受けて行うものでございます。
まず、消費者の自立の支援についてでございますが、このことを条例の基本理念と明記いたしますとともに、その支援に当たりましては、消費者の年齢、その他の特性に配慮されなければならないことといたしました。これまでも対象別の啓発パンフレットの作成や出張講座など消費者の主体的な活動を支援する施策を行ってきたところでございますけれども、これまで以上に工夫を凝らし、効果的な手法で啓発に努めてまいりたいと存じます。例えば、関係局と連携して、ひとり暮らし高齢者等に対する啓発に努めますとともに、学校現場での啓発について検討を進めているところでございます。
2点目の迅速かつ適切な情報提供についてでございますが、最近は悪質商法の手口が巧妙になり、特に短期間に被害が広範囲に拡大する場合が見受けられます。そのため、新手の取引手口や被害状況などをマスメディア等により迅速に提供してまいりたいと存じます。また、従来の場合、勧告を経た上での事業者名の公表制度というのがあったわけでございますが、それに加えまして、緊急の必要がある場合には、指導、勧告を経ることなく速やかに公表することによりまして、被害の未然防止、拡大防止に努めてまいりたいと存じます。
3点目の消費生活審議会によるあっせんについてでございますが、今回の条例改正によりまして、新たにあっせん機能を付与された専門機関が悪質な事例等について、紛争処理の早い段階からあっせんを行うことによりまして、円滑かつ早期の被害救済を図ってまいりたいというふうに考えております。よろしく御理解を賜りたいと存じます。
◆(こんばのぶお君) それぞれ御答弁いただきまして、ありがとうございました。
放置自動車条例について一言申し上げます。ブロークン・ウインドー・セオリーという言葉を御存じかと思います。アメリカ、スタンフォード大学のフィリップ・ジンバルト教授による実験によって証明され、犯罪学者のジョージ・ケリング氏によって名づけられた理論で、割れ窓理論とも呼ばれています。ケリング氏は後に治安回復を公約して当選したルドルフ・ジュリアーニニューヨーク市長の顧問としてこの理論を応用し、治安対策に大いに貢献したことでも有名です。
実験の内容は、窓ガラスを割った車をわざと住宅街に放置する、いわば放置自動車の状態です。1週間後、その車は次々とガラスが割られ、バッテリーやタイヤなど換金できる部品はほとんど盗まれ、破壊されてしまったという結果であったそうです。このことから、人は匿名性が保障されるといった状況下では、自己規制意識が低下するということが証明されています。本市では、人通りの少ない郊外地域や夜間をねらって自動車の放置が行われているとのことであり、まさに同じ状況となります。放置行為自体が犯罪行為であり、先ほどのブロークン・ウインドー理論から見ても、調査期間中の放置状態は次なる犯罪を誘発する危険性があります。しかし、逆に、きれいなまちにごみを捨てるには、人間の心理的な抵抗が働くことも証明されております。
この理論を積極的に取り入れられ、落書き消し隊を立ち上げられた松原市長さんにお尋ねいたします。この11月1日より、安心・安全で快適なまちづくりなごや条例が施行されたところであり、安心して暮らせる名古屋のまちづくりのためにも、質問の冒頭に申し上げた、名古屋は放置自動車を絶対にさせない、許さないとの強き姿勢を示すべきであると考えますが、市長のお考え並びに決意を最後にお聞かせいただき、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございます。
◎市長(松原武久君) 放置自動車の発生の防止及び適切な処理に関する条例につきまして、放置自動車を許さないという私の決意をお尋ねいただきました。
11月18日に、11月1日から施行されました安心・安全で快適なまちづくりなごや条例を受けて、市民の皆さんと一緒に久屋公園のところでたばこの吸い殻を拾う、あるいは落書きを消したり、あるいは違法看板等々を撤去したりという活動を行いました。そのときに、大変多様なグループが参加してくださいました。それを見て、市民の皆さん、あるいは事業者と協働ですることの大切さを強く意識いたしました。そういう意味で、名古屋市民はきれいなまちにしようという意識を強く持っていただいたと私は思っておりますが、放置自動車は、ただいま御指摘のように、調査期間中にも、そこにあるからもう1台持っていってそこに置いてもいいという、そういう気持ちを生じさせやすいと、そのことは事実だと思っています。が、私どもは6カ月中といえども、その所有者がわかった場合には直ちに撤去していただくように説得する等々、強い姿勢で臨みたいと思っています。今まで長くかかったのを6カ月という形にしたことは前進だと思っております。まずそういう事態を発生させないようにすること、起きたらそれを早期に処理すること、そのことにつきまして多くの皆さんと思いを共有して頑張ってまいりたい、こんなふうに思っています。私自身、この問題は安心・安全で快適に暮らせるまちの実現にとってとても大事な問題と思っております。一生懸命やるつもりでおります。
以上です。