◆(金庭宜雄君) 中村副議長さんのお許しをいただきまして、質問をさせていただきます。
初めに、地球温暖化対策推進法における脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの導入拡大についてです。
本年5月に改正された地球温暖化対策推進法、いわゆる温対法では、パリ協定の目標と昨年10月の首相所信表明演説で示された2050年カーボンニュート
ラル宣言を基本理念として、法律に位置づけられました。また、今回の改正では、国の地球温暖化対策計画に即して、地方公共団体が定める実行計画に
は、一つ目、再生可能エネルギーの利用促進、二つ目、事業者や住民の温室効果ガス削減活動の促進、三つ目、温室効果ガス削減に資する地域環境の整備
や改善、四つ目、廃棄物の発生抑制など循環型社会の形成について、施策に関する事項を定めるにとどまらず、目標を定めることが義務化されました。さ
らに、これらの目標設定に加え、新たに、再生可能エネルギーを活用した、地域脱炭素化促進事業の促進について定めることが努力義務とされるなど、地
方創生につながる、再生可能エネルギーの導入拡大を促進する法整備がなされたところであります。
温対法と2050年カーボンニュートラル宣言への本市の取組については、2月本会議において我が会派の近藤議員が、市議団の代表質問で包括的にただし
ておりますので、大枠については省略いたしますが、このたびの改正の肝に当たる再生可能エネルギー、いわゆる再エネ導入拡大について、名古屋市のこ
れまでの施策の推進状況について、また、今後の考え方を環境局長にお尋ねいたします。
次に、デジタル改革関連6法に基づく本市の行政改革についてであります。
本年5月、国において、デジタル改革関連6法が成立いたしました。これらの法律では、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現を目指すとする基本理
念を掲げ、マイナンバーの活用拡大や地方公共団体の情報システムの標準化に向け、本年9月にデジタル社会の形成に関する司令塔としてデジタル庁を創
設し、行政手続のオンライン化の推進や利便性の向上を目指します。デジタル社会形成関係整備法では、これまで慣例となっている行政の押印を求める手
続の見直しや、国と民間や地方で異なる個人情報保護ルールの統一化、マイナンバーカード機能のスマートフォンへの搭載により、利便性の抜本的な向上
を図ることなどが盛り込まれています。
行政サービスのデジタル化は世界各国でも進められているところではありますが、このたびのコロナ禍において日本のデジタル化の遅れが顕著になった
ことで、地方自治体においても、デジタル化の推進の重要性を改めて再認識する機会となりました。
行政のデジタル化のメリットとは、改めて申し上げることもありませんが、デジタル化による行政サービスの質の向上や、煩雑な手続や時間が大幅に圧
縮・改善できるというのがその利点であります。したがって、サービスを提供する行政も、事務量や、複合化する市民ニーズに対応する職員の経験や個人
能力に頼ることから解放され、サービスを享受する市民にとっても、細かな行政文書の理解や申請時に複数の書類を用意することなどが簡素化できるな
ど、相互にストレスを軽減できることが見込まれています。
大切な個人情報をしっかりと保護管理した上で、必要なサービス情報へのアクセス、手続、新しい情報の取得、個人情報の更新など、時間や距離を超越
し、希望すればいつでも年齢や身体的条件を問わず、誰もが情報にアクセスすることを可能にすることを目指した整備が求められています。
デジタルトランスフォーメーション--DXの推進については、さきの11月定例会で名古屋民主の日比議員が質問されていらっしゃいますが、その質問を
踏まえた上で、このたび成立したデジタル改革関連6法に基づく本市の行政改革について、以下3点を総務局長にお尋ねいたします。
1問目、本市行政のデジタライゼーション--デジタル化への今後の取組について、どのようなお考えをお持ちであるか、御見解をお聞かせください。
二つ目、行政のデジタル化を推進するとともに、次のステップであるデジタルトランスフォーメーション--DXに取り組む上で重要なのは、誰がやるの
かということであります。全庁的に強力に推進するためには、専門的知識を有する民間の人材を牽引役にしたプロジェクトチームの設置が必要になるもの
と考えます。この件について御答弁願います。
三つ目です。デジタル化を推進するためには、ペーパーレス化も非常に重要であると考えますが、いかがお考えでしょうか。お答えください。
以上で、第1問とさせていただきます。(拍手)
◎環境局長(勝間実君) 環境局に対しまして、地球温暖化対策推進法における脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの導入拡大についてお尋ね
をいただきました。
本市における再生可能エネルギーの導入拡大については、日照条件がよいという本市の地域特性を生かし、低炭素都市なごや戦略第2次実行計画におい
て、太陽光発電設備を2030年度に37万キロワット導入という目標を掲げ、取り組んでいるところでございます。目標の達成に向けて、これまで、住宅用の
太陽光発電設備の導入補助を行うとともに、小中学校の屋根を活用するなど、市施設への率先導入に努め、令和2年12月末現在、市域で約24万7000キロワ
ットの導入量となっております。
現在、国において、2050年までの脱炭素社会の実現に向け、より一層の再生可能エネルギー導入拡大の議論が進められているところでございます。今
後、国の地球温暖化対策計画の改定等を踏まえ、本市における新たな目標等について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎総務局長(難波伸治君) 総務局には、デジタル改革関連6法に基づく本市の行政改革について御質問いただきました。
新型コロナウイルス感染症をきっかけに社会が急激に変化する中で、市民がデジタル社会の恩恵を受けられるように行政を変革していくことは大変重要
であると認識しており、本市も積極的に行政のデジタル化を推進していかなければならないと考えております。
そうしたことから、テレワークなど場所にとらわれない新たな働き方に対応するために、チャットツールやビデオ会議システムを導入するとともに、持
ち帰った職場のパソコンから市役所のネットワークに接続できる環境などの整備に取り組んできたところでございます。
こうしたデジタル化を推進する体制としましては、CIOを担う副市長をトップとした局長級の会議として電子市役所推進会議を設置し、ICTの活用につい
て全庁横断的に取組を進めてきたところではございますが、昨今の状況に即応し、デジタル化による行政の変革をより迅速かつ効果的に推進するために
は、さらなる体制強化が必要であると認識しているところでございます。
そのため、民間のICTに関する専門家であるCIO補佐監をリーダーとし、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの中心的役割を果たす関係部署
を構成員としたDX推進プロジェクトチームを新たに立ち上げ、推進体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
また、議員御指摘のペーパーレス化につきましても、市民の利便性や職員の生産性の向上を図るため、デジタル技術の活用による紙資料中心の業務の進
め方を変革することは大変重要であると認識しております。
そのため、デジタルトランスフォーメーションの推進に当たりましては、いつでもどこでもスマートフォン等で手続ができるような新たな電子申請シス
テムを導入し、行政手続のオンライン化を進めるとともに、職員が紙資料の代わりにパソコンを携帯し、場所を問わず業務を遂行できるよう、パソコンの
軽量化や、電波強度やセキュリティー面の課題等を検証した上で無線LAN環境を整備するなど、ペーパーレス化にも配慮しつつ、しっかりと取り組んでま
いりたいと考えております。
以上でございます。
◆(金庭宜雄君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
まず、環境局長さんに再質問をさせていただきたいと思います。
名古屋市は、これまでごみ処理分野において3Rの推進に取り組み、最終的にごみ処理の際に、清掃工場において、焼却・溶融に伴う熱エネルギーを有効
活用して、発電や周辺施設への熱エネルギー供給などを行ってまいりました。本市は大都市であるがゆえに、ごみ焼却量も多いという特性があります。将
来的にも持続的な再エネの導入と活用を考えた場合、この特性を生かして、清掃工場におけるごみ発電については重要なバイオマス発電として捉え、今
後、一層効率的な電力の回収や利活用の促進を図るべきであると考えます。
また、本市自ら、市民や事業者に対し、率先して脱炭素化を進めるためには、今年度から取り組んでいます仮称名古屋版RE100の推進も重要になってく
ると考えます。
以上の点について、今後、どのように本市が脱炭素社会の実現に向けた取組を進めていくのか、環境局長の決意を含めてお考えをお聞かせください。
◎環境局長(勝間実君) 地球温暖化対策推進法における脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの導入拡大について、再度のお尋ねをいただきま
した。
環境局におきましては、現在、清掃工場の熱エネルギー有効活用に努め、発電や周辺施設へのエネルギー供給などを行っております。清掃工場における
ごみ発電につきましては重要なバイオマス発電であることから、工場の更新時には引き続き最新技術を導入し、発電効率の向上に努めるとともに、利活用
についても研究をしてまいります。
また、議員御指摘の仮称名古屋版RE100の推進につきましては、東山動植物園北園エリアはじめ3施設において先行導入を進めているところでございま
す。再生可能エネルギー由来の電力のさらなる導入拡大を進めるには、導入コストなどの課題はございますが、温室効果ガス削減効果や市民・事業者の皆
様への波及効果などを勘案し、導入する施設の選定などを行ってまいります。
地球温暖化対策を所管する環境局といたしましては、法の目指す脱炭素社会の実現に向けて、先頭に立って進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆(金庭宜雄君) ありがとうございました。
環境局長さんからは、名古屋市の清掃工場が今後も工場の更新時に最新技術を導入した重要なバイオマス発電の拠点として稼働し、仮称名古屋版RE100
も市民や事業者へ波及効果がある方法で実施するとのお力強い答弁をいただきました。
名古屋市は、松原市長さんのごみ非常事態宣言が発せられて以来、名古屋の環境を守ろう、子供たちにきれいな環境を受け渡していこうと、市民による
細かなごみ分別と地道な3Rへの行動へとつながりました。そして、その取組は2005年、環境問題と市民参加を前面に打ち出し、「自然の叡智」をテーマに
した万博、「愛・地球博」へとつながり、毎年9月に開催されている環境デーなごやには多くの企業や市民が参加されているなど、本市は環境のトップラ
ンナーの自負の下、今日に至っています。
そうした市民の意識と行動に呼応するためにも、脱炭素社会の実現に向け、名古屋市の持つ地理的特性と高いポテンシャルを十分に生かした再生可能エ
ネルギーが今後さらに拡大していくことを大いに期待しております。環境局の揺るぎない決意に敬意を表したいと存じます。
次に、デジタル関連の質問に関して再質問をさせていただきます。
市民が行政のデジタル化の恵沢を最も身近に感じることができるのは、ドアオープナーたる自治体のホームページであると思いますので、他都市のホー
ムページのデジタル化対応について少し触れておきます。
初めに、札幌市では、市民がわざわざ窓口に来庁しなくても行政手続が可能になる仕組みづくりを目指すとしています。マイナンバーカードのさらなる
普及を図り、福祉やまちづくりの相談業務など、対面での時間対応に職員を振り向けたいという目標を持って改善に取り組んでおります。
次に、横浜市です。副市長がCIOに就任--これは名古屋と同じですね--誰もがオンラインで行政手続が簡単に行えるように全庁で体制を整えていく
ということでございます。
そして、神戸市、スマートフォンなどを活用して、市のホームページ上でオンライン申請や届出ができるようにするデジタル市役所を目指すとされてい
ます。自治体初のログイン方式を採用して、希望する市民にマイページを作成し、利用者が登録した情報や閲覧履歴に応じて、人工知能--AIがその人の
関心がありそうな市政情報を案内する、プッシュ型の表示になるそうです。データ処理に詳しい民間の専門人材をホームページ監理官として登用して、市
のコールセンターで問合せの多い手続を検索しやすく工夫して、知りたいことがすぐ分かるホームページを目指すとの方針です。
最後に北九州市です。市のホームページに、オンラインによる手続ができるデジタル窓口がもう既に設置されています。この窓口をクリックすると、例
えば身内が亡くなったときの届出に何が必要なのか、設問をクリックしていけば個々人に必要な手続の方法が分かる仕組みや、コロナワクチン接種予約は
もちろん、予約の空き状況もリアルタイムで分かるようになっています。このほか、図書の予約、粗大ごみの手続、市民税や国民健康保険料の支払いなど
では、クレジットカードやスマホ決済のやり方を誰でも分かるように案内してくれるなど、約3,000以上の行政サービスがホームページから手続ができる
ようになっています。
今、御紹介した政令市は、国のデジタル化推進より一歩進んだ改革に着手している感がしますが、名古屋市も他市に後れを取ることなく、積極果敢にチ
ャレンジしていただくことを要望しておきます。
そこで再質問でございます。
デジタル化を推進する上でペーパーレス化が重要である点について、総務局長さんからは、市民の利便性や職員の生産性向上を図るため、デジタル技術
の活用による紙資料中心の業務の進め方を変革することは大変重要であると認識しているとの御答弁をいただきました。
先頃、国において、6月末までにファクスを原則禁止するとの意向が河野大臣から発せられておりました。デジタル社会を推進する上で、紙での案内や
チラシの送付など、紙媒体で行っている議員への情報提供の手段についても、電子メールを活用し、業務の効率化やペーパーレス化を進めるべきではない
かと考えますが、いかがでしょうか。総務局長に再度お尋ねいたします。
◎総務局長(難波伸治君) 総務局には、議員の皆様方への情報提供の手段について御質問をいただきました。
本市としましては、様々な機関との情報のやり取りにつきまして電子メールを使用しているところでございますが、議員の皆様への情報提供の多くにつ
きましては、電子メールではなく、紙での案内やチラシ等の送付をはじめ、紙媒体が使われているところでございます。
議員御指摘のとおり、議員の皆様方への情報提供の手段として電子メールを活用していくことは、業務の効率化やペーパーレスの観点からも非常に有用
な手段ではありますが、情報の受け手側である議員の皆様方のそれぞれの状況をお伺いする必要もあるかと認識しておるところでございます。
当局といたしましては、デジタル化を進めるこの機会を捉え、情報の受け手側である議員の皆様の御意見を伺いながら、電子メールの活用について検討
してまいりたいと考ております。
以上でございます
◆(金庭宜雄君) ありがとうございました。総務局長さん初の答弁ということで、長々と答弁いただきましてありがとうございました。
議員への情報提供の手段として電子メールの活用を提案いたしましたが、メールは、時間や場所にとらわれず、チラシや資料なども添付でき、必要に応
じてアウトプットできることから、今後のペーパーレス化にも大いに役立つと考えます。今後、しっかりと議会との協議・調整等を進めていただきなが
ら、効率的で効果的な方法を検討していただきますよう要望いたします。
さて、自治体がDXを推進するべき理由はほかにもあると指摘されています。それは、生産年齢人口の減少による税収減や複雑化している市民ニーズなど
により、自治体職員が担うべき業務負担がさらに増加している点にあると言えます。限られた人員で業務を遂行していくには、従来の業務を効率化するこ
とが欠かせない課題であることは言うまでもありませんが、今般のコロナ禍における社会ニーズ対応を教訓として生かすべく、デジタルは難しそうで苦手
だと思っている人も、誰もが簡単に手続ができる仕組みをつくるのがデジタライゼーションです。
また、今日にでも発生するかもしれない南海トラフ地震をはじめ、風水害等の本市防災・減災対策には、早急なデジタル化が不可欠であり、市民の命を
守る上で一刻の猶予も許されない、まさに時間との勝負であり、論を待たずして取り組むべきものであります。本市は、廣澤副市長をCIO--最高情報統
括責任者として、また、民間のICT専門家がCIO補佐監として手腕を振るうとの答弁がありました。
デジタル化を牽引するのは、民間からの若い世代が中心となります。若手職員が中心となって、豊かな発想力が次から次へとあふれ出るようなDX推進プ
ロジェクトチームとなるよう期待しております。廣澤CIOには、改革を任せ切る、リスクとチャレンジの全責任者としてのその覚悟を持ち、任に当たって
いただきたいと思います。また、任期満了まであと半年という短い期間ではありますが、廣澤副市長の本来の専門分野でもあるICTでようやくその力が発
揮できるのではないかと期待しております。名古屋の行政が新しく生まれ変わる大きな一歩を刻むべく、たっぷりと汗をかいていただきますよう強く要望
させていただきまして、私の質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)