◆(金庭宜雄君) 議長のお許しをいただきましたので、質問通告に従いまして質問をさせていただきます。
初めに、消費者教育推進法に基づく学校現場の金融教育についてお尋ねをいたします。
私たちは、誰もが一生涯にわたり、お金とかかわりながら生活をします。しかし、金融に対する誤認で、生活困窮や思わぬトラブルに巻き込まれたりすることも、時としてあります。これらの事例は、個人に正しい金融知識があれば冷静に回避できることも多く、金融情報について正しくわかりやすいことが望まれます。
そのためには、正しい金融知識の普及を行うことが重要であります。個人がお金に賢くなるための知識を得られるようにと、国においては、日銀の金融広報中央委員会が金融教育を推進し、子供から大人まで金融経済の学習が受けられる支援を都道府県が中心となって実施しています。
金融という言葉から難しそうだとのイメージがありますが、金融教育とは、誰もが生活をしていく上で必要な消費活動や貯蓄などお金に関する基礎を学ぶことを指します。
金融広報中央委員会では、金融教育の必要性を次のように位置づけています。一つ、生きていくこととお金とは切り離せない。一つ、お金で失敗すると、人生への痛手が大きい。一つ、金融経済の自由化による自己責任が問われるなどの変化を挙げ、さらに、金融は教えないでも身につくことではなく、人生の初期から丁寧に教える必要があるとしています。つまり、金融教育は、生きる力、なかんずく人生を生き抜く上で不可欠の力を養うものであるということであります。
この金融広報中央委員会が、平成20年に金融に関する消費者アンケート調査を実施した結果で、学校教育の中で金融に関する教育を受けましたかとの問いに対し「受けた」と答えたのは4%、「受けたと思うがよく覚えていない」が20%、「ほとんど受けていないと思う」が75%でした。次に、最近の学校における金融に関する教育についてどのようにお考えですかとの問いには、「もっと積極的に取り組んでほしい」が58%と、半数以上の方が金融教育の必要性を感じているとの結果が出ています。また、学校における金融に関する教育について、不十分だったと思われることがありますかとの問いに対して以下のような回答でありました。一つ、基礎的な金融・経済の仕組みの理解。一つ、年金など、老後の生活を支える仕組みの理解。一つ、金融商品を理解し、選択する能力。一つ、お金の大切さの理解。一つ、お金の計画的な使い方の理解。一つ、金融トラブルに遭わないための留意点。これらについて、不十分だったと思うとのことです。この調査から見て、学校での教育機会の確保がいかに大切であるかということがわかります。
さて、名古屋市での実施状況を調べますと、平成24年施行の消費者教育推進法においてこれを推進することが国及び地方公共団体の責務と定められており、本市では、名古屋市消費者生活センターが賢い消費者育て隊として、受講を希望する小中学校や特別支援学校へ消費者教育コーディネーターを派遣し、子供たちに向けた消費者教育を推進してきました。
そこで、市民経済局長にお尋ねいたします。これまでの消費者教育コーディネーター派遣事業の実績を踏まえ、どのような評価をされていらっしゃるでしょうか。また、消費者教育に加え、今後は基礎的な金融知識、例えば、貯蓄の大切さやお金の運用を考えるなども学習項目に加えていくお考えはないでしょうか。そのために、豊富な金融知識と経験を持つ税理士や、銀行、証券、保険会社での実務経験者やファイナンシャルプランナーなど、多様な方にも講師として参加していただき、子供たちにとって楽しくわかりやすいお話が聞ける機会を提供できるような工夫も必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。以上、2点について御答弁をお願いいたします。
次に、教育長にお尋ねいたします。子供たちの誰もがひとしくお金に関する基礎的な知識を身につけ、健全な青少年を育む意義で、正しく学び、お金に賢くなろうとの観点で、子供たちにとって楽しくわかりやすい金融教育の機会を確保することは大切であると考えます。人生の基礎を築く学齢期における金融教育の重要性について、どのような見解で今後、消費者教育コーディネーター派遣事業の活用を含め、どのように推進されるお考えであるかお尋ねいたします。
次に、守山スマートインターチェンジを活用したまちづくりについてお尋ねいたします。
東名高速道路守山パーキングエリアに、名古屋市初のETC専用インターチェンジとして、守山スマートインターチェンジが今月24日に開通いたします。計画当初、平成22年の完成見込みでありましたが、途中、政権交代や大規模な工事設計の見直しなど紆余曲折を経て、地域住民の皆様へたび重なる変更などへの御理解や御協力をいただき、いよいよ待ちに待った開通を迎えるところであります。
守山スマートインターチェンジは、名古屋インターチェンジと春日井インターチェンジの間に位置することから、それぞれのインターを利用する車両の分散や交通渋滞緩和が見込まれています。
あわせて、企業では、守山スマートインターチェンジを利用することで、時間や距離の短縮による物流コストの軽減など事業費の高効率化も期待されています。
また、名古屋や周辺市域住民が豊田市やみよし市など三河方面への通勤利用する際の利便性向上や、名古屋市東部地域への交通アクセスも良好になるなど、さまざまな期待が寄せられています。
そこで、住宅都市局長にお尋ねいたします。守山スマートインターチェンジ開通による期待や効果などを踏まえ、今後のまちづくりへの活用をどのように考えておられるか、お伺いいたします。
次に、守山スマートインターチェンジを活用した新たな市バス路線の検討について、交通局長にお尋ねいたします。例えばではありますが、守山スマートインターチェンジから東名高速道路を通り、名古屋インターから最寄りの地下鉄東山線本郷駅へと接続するバス路線で、都心との距離と時間を短縮する新たな選択肢ができるのではないかと考えますが、交通局長の御所見をお伺いいたしまして、第1回目の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
◎市民経済局長(中田英雄君) 消費者教育推進法に基づく学校現場の金融教育につきまして、市民経済局には2点のお尋ねをいただきました。
まず、消費者教育コーディネーター派遣事業の評価についてでございます。
消費者教育推進法では、消費者教育は幼児期から高齢期までの各段階に応じて体系的に行いますことや、学校、地域、家庭などの場の特性に応じた適切な方法によりまして、消費者教育を推進する多様な主体との連携をもって実施することが求められているところでございます。
議員御指摘のように、消費生活センターでは、消費者教育コーディネーターを受講希望の小中学校に派遣いたしまして、消費者トラブルの注意や買い物体験、お金の使い方などの講座を行っているところでございます。
派遣先の先生からは、消費生活の専門家に話をしてもらうことは子供たちにとって貴重な経験であったなどのよい評価をいただいております。また、授業を受けた子供たちからは、専門の人が先生とともに授業を行うことで積極的かつ真面目に取り組むことができたという感想もございまして、子供たちの消費者問題に対する理解が、より進んだものと考えておるところでございます。
次に、金融教育の充実と専門家の講師派遣についてでございます。
近年では、社会、経済、金融環境の大きな変化の中で、働いてお金を得る、お金を使う、ためる、運用・投資する、借りるというそれぞれの場面で、さまざまなリスクやトラブルに直面することがふえております。
このような背景の中で、将来子供たちがお金に関する消費者被害に巻き込まれないために、発達段階に応じた適切な金融教育を受け、みずからの判断で正しくお金を活用できるようになることが重要でございまして、あわせて、金融教育を受けることができる環境をつくっていくことも大切であると考えているところでございます。
議員御指摘の貯蓄の大切さやお金の運用という内容につきましても、今後、消費者教育コーディネーター派遣事業の中で取り組みますとともに、子供たちが興味を持てる、楽しくわかりやすい話をしていただけるよう、金融教育の専門家も講師として派遣してまいりたいと考えておるところでございます。
以上でございます。
◎教育長(杉崎正美君) 教育委員会に対しまして、金融教育の重要性に対する見解と今後の取り組みについてお尋ねをいただきました。
議員御指摘の金融教育につきましては、学習指導要領において、消費者教育、金融経済教育に関する内容として指導するよう示されており、小学校の家庭科、中学校の社会科及び技術・家庭科の中で、発達段階を踏まえまして、お金の計画的な使い方や、金融の仕組みや働きなどの授業を行っておるところでございます。
学齢期において金銭の大切さや金融の仕組みについて学ぶことは、子供たちが社会に出たときに、自立した消費者として安心して安全で豊かな消費生活を営むために大変重要であると考えております。
教育委員会といたしましては、今後は、消費生活センターとの連携を図りながら、学校において消費者教育コーディネーター派遣事業が、より一層活用されるよう努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎住宅都市局長(光安達也君) 住宅都市局に、守山スマートインターチェンジを活用したまちづくりに関しまして、開通による期待と効果についてお尋ねをいただきました。
市内唯一のスマートインターチェンジとして、本年3月24日に開業予定の守山スマートインターチェンジは、名古屋大都市圏の発展を支える高速道路ネットワークの形成に資するものと考えております。
スマートインターチェンジの整備計画におきましては、その効果といたしまして、自動車の走行時間の短縮に加えまして、走行経費の削減や交通事故の減少によりまして約105億円の便益になると算出しております。
また、交通量の多い名古屋インターチェンジ等の交通量が分散されることによりまして、市内東部における渋滞の緩和が期待されるほか、新たな広域道路ネットワークへのアクセスが形成されることで、市内の人、物の交流が一層活発になることが期待されております。
さらに、スマートインターチェンジができる守山区志段味地区におきましては、東名高速道路までのアクセス時間の短縮が見込まれることから、立地条件の向上によるサイエンスパークへの先端技術産業の一層の集積が期待されるほか、新たな商業施設の誘致や既存商業施設の商圏拡大、東谷山フルーツパークといった観光施設への訪問客の増加等の効果も期待され、経済波及効果は大きいものと考えております。
今後は、広域交流のかなめとなりますスマートインターチェンジ開通による効果を最大限活用することによりまして、なごやサイエンスパーク事業、歴史の里、特定土地区画整理事業等の北東部のまちづくりを着実に推進してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
◎交通局長(光田清美君) 交通局に対しまして、守山スマートインターチェンジを活用した新たな市バス路線の検討についてお尋ねをいただきました。
東名高速道路を経由した路線バスの運行につきましては、最高速度時速60キロメートルの名古屋高速道路を経由した市バス高速1号系統とは異なり、お客様が全員着席利用でシートベルトを着用する必要があり、現行の市バス車両での対応が困難であります。
高速道路で運行可能な専用車両を新たに用意する必要があることに加えまして、運行時に座席が満席になった場合はお客様が御乗車できなくなり、続行便を出す場合にも専用車両のため対応が難しいなど運行面での課題が多いことから、交通局が実施するのは非常に難しい状況と考えておりますが、一方、守山スマートインターチェンジの供用開始などまちづくりの進展に伴い、志段味地区の公共交通網の充実を図ることは大変重要な課題であると認識をしております。
そうしたことから、地域の関係者とともにさまざまな方策について検討し、地域の開発状況や道路の整備状況等を踏まえながら、地域でのさらなる公共交通網の充実に努めてまいります。
以上でございます。
◆(金庭宜雄君) それぞれ御答弁いただきました。
まず、消費者教育推進法に基づく学校現場の金融教育について要望を述べたいと思います。
先ほど紹介いたしました金融に関する消費者アンケート調査というのは、国において、20代から70代までの無作為抽出の男女4,000人に対して、平成13年、15年、20年の3回にわたって同じ質問項目で実施したものを御紹介させていただきました。
その中で、あなたは金融に関する知識・情報を主にどこから得ていますかという問いに対して、インターネットなど情報技術の活用と答えた人が、平成13年で5.9%であったのが、平成15年は23%、平成20年には31.3%と増加傾向にありまして、身近になったネット情報から知識を得ているという傾向が確認でき、特に若者は、困ったときにはネット情報を活用するという傾向があることがわかります。
スマートフォンが普及しましてネット情報が利用しやすくなった昨今では、お金を借りることも非常に簡単になってきていると実感をいたします。しかし、顔の見えないインターネットの金融情報には、複雑でわかりにくく、金融知識が不足しているとトラブルに発展する場合もあります。
いかにして金融トラブルなどに巻き込まれないようにするかという点に端を発し調査し、今回の質問に立たせていただきました。その上で、日々の生活で賢く立ち回るには、子供のころに正しい金融教育の機会に触れておくということがまずは重要ではないかとの結論に至りました。
未来を担う全ての名古屋の子供たちが、勉強の得手不得手にかかわらず、金融教育を通じて正しい認識を持った賢い社会人へと育っていただくためにも、より一層の施策の充実を強く要望させていただきます。
次に、守山スマートインターチェンジを活用したまちづくりにつきまして、再質問をさせていただきたいと思います。
先ほど、住宅都市局長さんからは、守山スマートインターの整備計画においての効果検証での試算で、約105億円の便益であるとの答弁とあわせて、志段味地区における先端技術産業や新たな商業施設の誘致、東谷山や歴史の里など誘客への経済波及効果も大いに期待されることとあわせて、土地区画整理事業等のまちづくりを着実に推進するとの決意表明をいただきました。
志段味地区のまちづくりのコンセプトとして、先端技術産業の推進や環境に配慮した住宅整備など、名古屋市の次世代の先端モデル地区としてこれまで推進してまいりました。
そこで、守山スマートインターチェンジの開通を機に、人の移動を効率化する新時代のテクノロジーと言われているスマートモビリティー、これを生かしたまちづくりも検討してはいかがかと思いますが、住宅都市局を所管する堀場副市長にお尋ねをさせていただきます。
◎副市長(堀場和夫君) 志段味地区での交通まちづくりについて御質問をいただきました。
志段味地区では、スマートインターチェンジの活用による広域交流に加えまして、高齢社会における地区内での円滑な移動や都心部へのアクセスなど、交通面における課題解決を図りながら、地域の人が移動しやすく、外部の人も訪れやすいまちづくりを進めることによりまして、さらに魅力をアップさせる必要があると考えております。
このため、基幹交通としてのゆとりーとラインを軸としながら、起伏のある地区内の移動につきまして、御指摘のありましたスマートモビリティーの活用も視野に入れながら検討してまいりたいと存じますので、よろしく御理解賜りたいと思います。
以上でございます。
◆(金庭宜雄君) ありがとうございました。
交通局長からは、先ほど、スマートインターチェンジの周辺を含む志段味地区におけるさらなる公共交通網の充実に努めるとの決意をお聞きいたしました。今、スマートモビリティーを生かしたまちづくりにも積極的に取り組んでいただくとの副市長からの御答弁もいただきましたように、今後のこのまちづくりも含めまして大いに期待をしておりますので、どうかスピード感を持った対応をよろしくお願いいたします。
スマートインターを活用したバス路線については、別車両対応などさまざまな課題があるということであります。課題については十分に理解した上で、あえて質問をさせていただきました。なぜか。理由があります。
これまで守山区公職者会要望で河村市長に対し、毎年、志段味地区の交通インフラ整備を求めてきました。私も地元の質問というのは、今回、この本会議で質問させていただくのは、実は初めてでございます。ずっと待っておりましたが、なかなか遅々としてその整備が進んでいません。
このたびの守山スマートインター開通まで長い時間を要したことを考えれば、この間、今回私がわざわざ提案するまでもなく、スマートインターを活用したバス路線などの交通インフラ整備を検討する時間は、市長さんにも十分にあったはずです。都心のにぎわいづくりや観光客を呼び込む施策は重要です。同時に、社会変化に耐え得る持続可能な、市民のための生活交通を整備していくのも、極めて重要な市長としての責務であります。市長には、今後の施策展開への期待を込めて、あえて苦言を申し上げておきます。よろしくお願いをいたします。
莫大な費用と長い時間を要する地下鉄路線の新設を要望するよりも、より現実的で実現可能な生活交通としての今回の提案と受けとめていただくよう強く要望をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。