平成26年9月定例会(9月18日)

なかなか減らない運行ミスの現状に対する認識とこれまでの取り組みについて


◆(金庭宜雄君) お許しをいただきましたので、通告に従い、質問をさせていただきます。  
名古屋市の公共交通のかなめは市交通局が担っており、地下鉄と市バスは、まさしく市民にとって重要な移動手段であります。ふだん何げなく利用しているようでも、乗客の皆さんは自分の身を委ねているわけですから、安心・安全・快適な乗り物という前提は不変であります。  
しかしながら、ことしに入って、これまでヒューマンエラーによる重大な運行ミスや事故、交通違反など、市民の安心・安全が脅かされるような事案が発生しており、私も一市民として看過することはできません。  
特に、身近な市バスの事故や運行ミスが新聞やテレビなどで報道されるたびに、市民の方から私のところにお叱りや心配の声が寄せられています。  
これまで交通局が公表している市バスの有責事故件数は、平成24年度が803件、平成25年度は730件と約1割ほど減少した一方、路線誤認やダイヤ誤認、バス停通過などの運行ミス件数は、平成24年度の403件から平成25年度は662件と大幅に増加しています。今年度に入り、5月までの2カ月間の集計でも、有責事故件数は106件、運行ミス件数は141件発生しています。  
こうした中、本年5月15日、運行ミスや道路交通法違反が続発している交通局の状況を改善するよう、国土交通省中部運輸局より文書指導が出されました。  
これを受け、交通局では、6月を市バスの運行ミス等防止強化月間と位置づけ、局長みずからの巡視や現場職員への直接指導を初め、6項目にわたる防止対策を実施してきたところです。  
しかしながら、その後も交差点に赤信号で侵入し、警察に検挙される事案が6月と7月に続けて発生するなど、防止対策の先頭に立つ交通局長のみならず、名古屋市民を大変にがっかりさせるものでした。  
市バスの運転手や職員は、事故や運行ミスは1件も起こさないとの決意で運行乗務に当たっていると信じていますが、これらなかなか減らない運行ミスの現状に対する認識とこれまでの取り組みについて、交通局長にお尋ねいたします。  
現場でのヒューマンエラーは、人の命にかかわる重大な事故につながる可能性もあり、どこまでも運行ミス撲滅を目指した実効性のある対策を講じていかなければなりません。運行ミスゼロを目指しての課題をどのように捉えていらっしゃるか、あわせて交通局長にお尋ねいたします。  
信号無視などが発生した際に、交通局が発表している再発防止策として、全乗務員に対し、道路交通法の遵守を改めて徹底しますとありますが、再発防止策として、果たして実効性が上がる対策なのか、いささか心もとないと言わざるを得ません。  
運転手の方は常にお客様を乗せて仕事をしています。お客様から見た運転手の接客・接遇、運転マナーや法令遵守の姿勢を、折に触れてしっかりとした御意見や提案としてお聞きすることは、運行ミス防止の観点からも大変重要であると考えます。  
お客様の声を聞くという視点での取り組みとして、交通局では、約10年前から16歳以上の利用客を対象に、お客様満足度を調査するネットモニターを実施していると聞きます。お客様からいただいたネットモニターによる評価と結果をこれまでどのように生かしてこられたのか、交通局長にお尋ねし、私の第1回の質問とさせていただきます。(拍手)

◎交通局長(三芳研二君) 市バスの運行ミス等の防止に向けた取り組みについて、交通局に数点のお尋ねをいただきました。  
まず、第1点目のなかなか減らない運行ミスに対する認識についてでございます。  
本年4月以降、市バスで重大な運行ミスや法令違反が続き、さらには、監督官庁から指導や行政処分を受けたことは、民間事業者の模範であるべき公営事業者として恥ずべき事態であり、大変重く受けとめております。  
また、日ごろより市バス・地下鉄を御利用いただいておりますお客様や市民の皆様に大変御迷惑、そして御心配をおかけし、信頼を損ねたことにつきまして、心よりおわび申し上げます。  
こうした状況からの改善を図り、市民やお客様の信頼を回復するには、単に運行ミスを発生させた職員や現場の問題とするのではなく、現在の危機的な状況を組織全体の問題として各職員が認識し、現場と本庁の全ての職員が一体感を持って対策に取り組むことが不可欠と考えております。  
次に、これまでの取り組みについてでございます。  
これまでに発生いたしました運行ミスに対しましては、個別に再発を防止するための対策を講じる一方、他都市における運行ミス対策等を調査いたしまして、運転手に注意を促す対策として、路線が分岐する手前の停留所への注意喚起ステッカーの張りつけや、車内案内放送への行き先や経由地の音声の挿入などの対策を順次導入・拡大をしてまいりました。  
本年6月の運行ミス等防止強化月間には、自動車部以外の局職員も動員いたしまして、バスターミナル等でのハンドプレート掲揚などによる注意喚起対策を集中的、継続的に実施し、現在の市バスの危機的な状況について、全職員への浸透を図ってまいりました。  
そして、7月には、防止強化月間に実施しましたさまざまな対策に関しまして、全乗務員を含む現場職員へのアンケート調査を実施し、現場職員の運行ミス防止に対する意識や意見の集約を行いました。  
この結果や中部運輸局による立入調査による指摘も取り入れながら、今月中を目途に交通局としての新たな防止対策を取りまとめる予定でございます。  
3点目に、運行ミスゼロを目指しての課題についてでございます。  
これまで運行ミス防止のため、発生した各事案に対して個別に対策を講じてまいりましたが、運行ミスとは無縁の運転手も多数いる中で、運転手を初めとする職員の業務負担の増大ややらされ感から、職員の士気の低下につながるとの懸念もございます。  
運行ミス対策の実効性を確保する上で、最終的には、個々の職員のモチベーションをいかに引き出していくかが大きな課題になるものと考えております。  
現在、非常に厳しい状況下にございますが、職員が前向きな気持ちで職務に従事できる、働きやすく風通しのよい職場環境や企業風土をつくり上げ、現場力の再生へとつなげていきたいと考えております。  
最後に、お客様からいただいたネットモニターによる評価と結果をこれまでどのように生かしてきたのかとのお尋ねについてでございます。  
現在、市バス・地下鉄の事業に関しまして、お客様から御意見や評価をいただくシステムとして、インターネットを活用いたしましたモニター制度を実施いたしております。  
その中で、バス運転手の接客態度や運転操作などについて、満足か不満足か、また、重要と感じているかどうかといったことを、平成15年度から、おおむね年1回、アンケート形式で伺っております。  
基本的に毎回同様の設問を設定し、毎回の結果を比較することによって、例えば、接客態度がどのように評価されているのか、よくなったのか悪くなったのか、こういったことを把握いたしておりまして、接客態度や運転操作などの指導や改善を検討する際の参考とするなどいたしまして、事業運営に生かすように努めているところでございます。  
以上でございます。

◆(金庭宜雄君) 御答弁ありがとうございました。  
ただいまの減らない運行ミスについての御認識につきましては、局長から、恥ずべき事態であり、大変重く受けとめておられるとの御答弁でございました。大変これは重い言葉でございます。  
この危機的とも言うべき状況をどう打開するか、市民は見ております。お客様相手の仕事でございます。一体どちらを向いて仕事をしているかが実は重要なポイントになろうかというふうに思います。社内の評価を気にするのか、お客様の評価を気にするのか、この着眼点の違いで全く違う結果が出るのだと私は思います。  
民間企業では、お客様からの評価は企業の評価になり、社員の評価は給料や、また、雇用につながっております。大変厳しいものがあります。敏感に反応する企業は、当然のことながら、お客様に喜んでもらうことを優先に考えるようになりまして、その意識が自然に接客や接遇の姿勢につながり、ひいては運転マナー向上につながるものと私は確信いたします。  
この点を踏まえ、他の交通事業者は、乗車モニターを募集して、実際にバスに乗ってもらい、直接評価をいただく制度を採用しております。私は、名鉄バスに乗車した際、添乗モニターの募集広告を見ました。取り組みに感心した私は、早速、名鉄バスさんの本社に添乗モニター制度について調査をしてまいりました。  
また、公営企業で唯一同様のモニター制度を採用している東京都の交通局にも調査に行ってまいりました。いずれも共通していることは、お客様満足度を高めることはもとより、運行ミス等撲滅に向けたもう一歩踏み込む努力をしているということを感じました。  
そこで、再質問をさせていただきます。  
名古屋市交通局でも、今こそこのような乗車モニターを積極的に検討するべきと考えますが、交通局長のお考えをお聞かせください。

◎交通局長(三芳研二君) 市バスの運行ミス等の防止に向けた取り組みに関しまして、乗車モニターを積極的に検討すべきと考えるがいかがとの再度のお尋ねをいただきました。  
議員から御提案をいただきました、モニターに実際に市バスに乗車をしていただき、その具体的な評価をいただくことは、お客様の立場に立った接客・接遇等を実践していく上でとても重要であると考えております。  
これまでも、ネットモニター制度により、お客様の評価を活用してまいりましたが、今後は、現在行っておりますネットモニター制度について、お客様の声をより生かせるような制度の改善・充実を検討してまいりたいと考えております。  
以上でございます。

◆(金庭宜雄君) ありがとうございました。  
ぜひとも積極的にこういった制度を生かしていっていただきたいというふうに思います。  
調査によりますと、名鉄バスでは、平成16年の分社化をきっかけに添乗モニターを開始いたしました。東京都の交通局では、平成18年から、交通局への苦情電話が余りにも多かったことから、職員組合も積極的に乗車モニターの採用に乗り出したと聞いております。また、実際にモニターさんと営業所幹部との意見交換を実施して、都営交通の理解を深めながらファンづくりをしているというふうにもお伺いしました。  
残念ながら、今の交通局は内向き志向で、問題を社内で解決しようと考えているようでなりません。もっと外に開かれた交通局として、今こそ市民から信頼され、愛され、親しまれる交通局を目指して、局一丸となった取り組みを開始するべきと考えますが、交通局長さんの決意をもう一度お聞かせください。

◎交通局長(三芳研二君) 運行ミスに向けた私の決意について、再度のお尋ねをいただきました。  
市民、お客様に将来にわたって安定的に市バス・地下鉄の輸送サービスを提供し続けるためには、市民、お客様からの信頼が不可欠であると認識をいたしておりますが、今、交通局はまさにその信頼を失いかねない正念場に立っているというふうに感じております。  
今こそ職員全員がその危機感を共有し、初心に立ち返って毎日の職務に励むことが必要であると考えておりまして、一日も早く市民、お客様の信頼を回復し、職員一人一人が自信と誇りを持って仕事に臨み、お客様に満足をしていただける市バスサービスを目指し、私を含め職員一丸となって頑張ってまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

◆(金庭宜雄君) 局長さんの決意をお聞きいたしまして、本当に心強く感じました。ぜひとも頑張っていただきたいというふうに思います。  
しかし、大切なことは、バス運転手の方が萎縮をせずにプロとしての自信を持ってお客様にその姿勢を示すことがヒューマンエラーを未然防止する近道であると私は信じております。  
そこで、一つの提案をさせていただきますが、マナーや法令遵守のレベルを一定化にすることは言うまでもありませんが、特に接客や接遇、運転マナーで基準以上の優秀な運転手を、例えば運転マイスターとして認定してはいかがでしょうか。  
名古屋のタクシー会社では、総合的に優秀なドライバーが運転するタクシーでおもてなしを表現しております。たった一台しかない金色のタクシー--金タクや、金色のつばめのあんどん--エクセレントにたまたま乗車したお客様が得した気分や安心感を味わえるというのは有名な話であります。私も、金タクに2回ほど乗ったことがあります。とてもうれしかったです。  
バス車内の運転マイスターの名札の横に、お客様から一目でそれとわかる表示をする。例えば、マスコットのハッチーを名古屋人が大好きな金色であらわしたゴールドハッチーがマイスターのあかし。このバスに乗車したら、安心・安全、そして快適が約束された気分になり、お客様に喜んでいただけるかもしれません。  
いずれにいたしましても、マナー向上に今も本当に一生懸命頑張っていらっしゃる運転手さんがたくさんいらっしゃいます。そういった運転手さんが高いモチベーションをこれからも保って頑張れるように、ぜひとも交通局としても支援していただけるような方策を考えていきたいことを要望させていただきます。  
そこで、最後に、市長さんにお尋ねをしたいと思います。実はけさ、東区内で、残念ながら、バスと女子高校生の方の接触事故があったというふうにお聞きをしました。本当に残念でなりません。  
事故の未然防止策への取り組みとしてさまざまな方法がございます。安全運転を優先する上で、少しでも運転手さんの負担を軽減することは重要というふうに考えます。  
現在、高齢化社会と言われておりますが、これに伴って、敬老パスや福祉特別乗車券を利用している方も年々増加しており、そのたびにボタンを押したりする回数もふえ、運転手の方も気を使う機会も多いのは事実であります。  
各会派からこれまで、議会からも予算要望や、また、議会質問において、ICカード化を求める声が多々ありましたが、こういった運行ミスの未然防止の点からも、ICカード化に早急に取り組むことも事故未然防止に大いに寄与すると考えますけれども、市長さんのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

◎市長(河村たかし君) けさの事故につきましては、残念でございまして、ちゃんと調べさせていただきたいと思います。  
確かに、言われますように、各党から御要望もいただいておりまして、また、公明さんからは、特に福祉特別乗車券について、ICカード化を早くしろという御要望をいただいております。  
僕もたまに乗るんですけど、バスに乗ると、カウントしておりますもんで、運転手さんの負担にもなるだろうということですが。  
この間までは、ランニングで2億円以上かかると。下手すると3億円だという話があって、毎年経費が。これではちょっとということで、今、経費の大幅な圧縮、もっとやり方はないのかと。  
それと、もう一つは、より使いやすいという観点から、今もう現に検討に入ったところでございますので、なるべく早くそういうふうに持っていきたいと思います。

◆(金庭宜雄君) ぜひとも早急にこういうことを実行していただきまして、安心・安全をまた高める施策の第一歩としてよろしくお願いをしたいと思います。  
いずれにしましても、今後の交通局改革というものを市民はじっと見守っております。本当に生まれ変わった交通局というものを、また、安心・安全、そして、愛される交通局を目指して、交通局には頑張ってください。このエールを送らせていただきまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)