平成15年11月 定例会(11月28日)

広聴活動について

応急手当ての普及啓発について

少子化対策への本市の取り組みについて


◆(こんばのぶお君) 通告に従いまして、順次質問をいたします。
 初めに、広聴活動についてお尋ねいたします。
 現在、日本社会では、少子・高齢化、情報化の急速な進展、社会構造や経済構造の大きな変化など、あらゆる分野においての変革が進んでおります。地方自治体においても、近年の地方分権の進展に伴い、これまで以上に市民とともに行動することが大切になっており、市民の声をより一層市政に反映することの重要性は言うまでもありません。本市においても、市政世論調査、市政アンケートなどによる市民ニーズの的確な把握や、さまざまな集会広聴、個別に寄せられた市民の声を通じて市政への反映に努められていますが、なお一層の広聴活動の充実が求められています。
 さて、21世紀を担うのは、何といっても現在の若者であります。しかしながら、現在の若者を取り巻く環境は、就職難や少子・高齢化による今後の社会負担の増加などの波を受け、一層厳しさを増しており、将来に夢や希望を持ちにくい現実との戦いであると言えます。しかし、若者は、困難に立ち向かっていこうとする情熱とチャレンジ精神と、思いもよらないフレキシブルな発想を持っています。私は、市長さんを囲んで若者に名古屋の将来像を語ってもらい、その声に真に耳を傾けることは極めて重要であると思います。市長さんみずからが若者との対話の輪の中に飛び込んでいくことこそ、相互理解と信頼のきずなを強める、まさに次代の扉を開くかぎであると考えます。
 そこで、市長さんにお尋ねいたします。若い市民の意見を積極的に市政に反映していただくためにも、市長さんと若者とが直接いろいろなテーマでひざを交えて意見交換ができる場を設けてはいかがでしょうか。市民との協力を働きかけるという協働の理念からも、若者が夢と希望を実現できる名古屋市を目指す絶好の機会になると思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、応急手当ての普及啓発についてお尋ねいたします。
 名古屋市は、昨年4月に東海地震の対策強化地域に指定され、いつ訪れるかわからない震災時の対応について、市民の間では身近な話題となっており、地域の防災訓練などを通して相互扶助の意識も高まっているところであります。防災対策の中でも、とりわけ救急救命講習の重要性が注目されております。災害時に救急車両が到着するまでの時間において、その場に居合わせた人が適切な応急処置ができたために一命を取りとめたという事例も多く報告されております。
 本市においては、応急手当て普及啓発の積極的な展開がなされており、本年4月からは、普通救命講習の中で乳幼児への対応講習を追加するなど、今後の普及展開が期待されております。昨年度の応急手当研修センター指導員が実施した普通救命講習の実績は359回で、受講者数は1万684人ということですが、これらの救命講習を行う指導員は現在9名で、フル回転の状況であります。
 そこで、消防長にお尋ねいたします。現在の限られた人員によって救命講習を名古屋市全体に展開していくことを考えたとき、各地域への拡大を早急に推進するための対応策はどのようにお考えでしょうか。例えば、現在、各消防署において普通救命講習を土日も含めて募集開催されておりますが、本市消防局の応急手当研修センターでの定期救命講習会を、平日開催のほかに土曜日、日曜日も加えるなど、受講者がより参加しやすい日程調整は考えられないでしょうか。また、地域消防団の方々に応急手当普及員講習の受講希望者を募り、修了者が中心となってそれぞれの地域で短時間の救急講習を開催していただくなど、基礎知識の普及を図ってはどうでしょうか、お伺いいたします。
 次に、少子化対策への本市の取り組みについてお尋ねいたします。
 急速な少子化の進行は我が国の経済社会全体に深刻な影響を与えることから、この少子化の流れを変えるため、本年7月に少子化社会対策基本法、次世代育成支援対策推進法が成立し、さらに児童福祉法が一部改正され、次代を担う子供たちが健やかに生まれ、育成されるための法的な整備がなされたところであります。
 具体的な少子化対策については、雇用環境の整備、ゆとりある教育の推進、経済的負担の軽減、保育サービスの充実など、さまざまな観点からの取り組みが求められております。子育てに関する経済的支援について言えば、国制度として児童手当があり、また、本市の施策として乳幼児医療費の助成制度が実施され、保育料についても一定の軽減がされているところであります。このうち児童手当については、国が制度拡充を行う方向であることが先日報道されました。
 本市の経済的負担の軽減策の一つとして、例えば秋田県のように、第3子の保育料を無料にするといった方法も考えられます。保育サービスの充実については、入所できない児童、待機児童の解消が何といっても急務であります。多様化する勤務体系に対応するための延長保育の充実や、本市が未実施の病児・病後児保育の実施なども求められております。また、本市の子育て支援策である子育てサロンの開放時間の多様化や開催日の増加なども重要な検討課題であると言えます。こうした危機的状況の中で、本市の保育・幼児対策を見ますと、保育園では、3人目のお子さんの同時入園保育についてのみ保育料の大幅減免措置や、幼稚園では、保育園同様に授業料の大幅減免措置がなされております。
 私ども公明党は、さらに施策の大幅なる拡充策として、年長組1年間の無料化を大胆に提案してまいりました。深刻な少子化対策は待ったなしであります。そこで、新たな提案として、3人目の乳幼児に対してはゼロ歳から就学前まで、一定の条件を付して保育園及び幼稚園の保護者負担は全額免除とする。こうした大胆な施策展開が、ナンバーワンでなくてもオンリーワンの名古屋として、子育て世代に大いに歓迎されるものであり、子育ては名古屋でとなることは間違いありません。
 以上、少子化対策の中でも、とりわけ重要である子育て支援につきまして数点の提言をさせていただきました。そこで、市長さんにお尋ねいたします。少子化対策は非常に重要であり、全庁的かつ総合的に進めていく必要があると思いますが、そのために、本市が今後子育て支援の施策にどのような方針で取り組んでいくのか。また、先ほどの提言を踏まえ、現時点でどのような施策の展開が考え得るのか、お伺いいたします。
 以上で、私の第1回目の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

◎市長(松原武久君) 広聴活動についてお尋ねをいただきました。
 本市におきましては、私が出席をいたします区民のつどいなどの集会広聴、あるいは市民から寄せられる市民の声のほか、市政世論調査等々、さまざまな広聴活動を通じまして市民ニーズの把握に努め、市政へ反映をさせてまいりました。
 議員御指摘のとおり、21世紀のあすの名古屋を築くのはまさに今の若者たちでございます。彼らの意見を聞くことは大変有意義であると存じますので、若者が参加しやすいインターネットを利用した市民の声やネット・モニターアンケートも実施をしているところでございます。また、これは数年来続いておるんでございますが、昨年からは、夏に多くの高校生と防災について熱心な討議をする機会を持ちました。話し合いの内容は、率直に言って未熟な点もございましたけれども、会の運営の様子、あるいは個々の意見の中に見るべきものがあり、私どもの大変参考になることがございました。
 今後とも、本市が主催する集会広聴への若者の積極的な参加を呼びかけます一方で、若者との意見交換の場につきましても、活発な議論のもと、新鮮な意見が期待ができるような方策を講じてまいりたいと思っています。
 ただ、数年、私が高校生と話し合っておって感じますことは、こちらの用意したフレームの中ではなかなか思ったような意見を言ってくれるとか活発に議論が交わされる、そういう状態はない。若者たちがみずからの考え方で一定の場を用意し、私を呼んでいただけるというような場面があれば喜んで出かけたいというふうに思っているところでございます。
 次に、少子化対策につきまして、子育て支援の取り組みについての御質問をいただきました。
 議員御指摘のように、少子化の進展は国民生活に大変大きな影響を及ぼすものでございまして、その対策は非常に重要であると認識をしているところでございます。本市といたしましては、名古屋市子育て支援長期指針に基づきまして施策を現在進めているところでございますが、さらに、今御指摘のように、次世代育成支援対策推進法が定められている市町村の行動計画を16年度中に策定する予定でございまして、子育て支援策を含む少子化対策への取り組みを全庁的にかつ総合的に進めていかねばならないと考えているところでございます。
 なお、現在国、地方財政の三位一体の改革の中で補助金削減の動きもございまして、これは大変地方に大きな影響を与えるのではないかと心配をいたしております。そういう中ではございますが、御提言のありました就学前児童に対する経済的支援の点につきましては、財源問題や負担の公平の問題、それぞれいろいろ課題があるわけでございますが、そういった課題を整理する中で、子育て支援策を充実する観点から検討してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。

◎消防長(小川誠君) 市民の皆さんによります応急手当ての実施につきましては、議員御指摘のとおり、日ごろの救急事案や震災時などにおきまして非常に重要であると強く認識をいたしております。
 現在、救急隊員や応急手当指導員が中心となりまして、消防署や応急手当研修センター、あるいはそれぞれの地域におきまして救命講習を実施いたしております。今後、より多くの方々に応急手当ての知識を習得していただくために、事業所や自主防災組織の方々の中から応急手当普及員になっていただくことによりまして、地域における普及活動を推進してまいりたいと考えております。そのために、普及員の方が地域で活動できるように資器材の貸し出しや研修制度を実施するとともに、こうした体制のPRにも努めてまいりたいと考えております。
 次に、応急手当研修センターでの定期救命講習会の土曜日、日曜日の開催につきましても、受講者の皆様の要望を伺いながら実施してまいりたいと考えております。
 また、消防団員によります救急講習の開催についてでございますが、現在約160名の消防団員の方々が応急手当普及員の資格を有してみえます。こうした消防団の方々が中心となりまして、地域の防災訓練などの機会に救急講習を開催いただいております。
 短時間の基礎的な救急講習につきましては、議員御指摘のとおり、非常に大切なものと認識いたしております。今後も、消防団員の方々が応急手当普及員といたしまして、それぞれの地域で効果的に活動していただけますように努めてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
 以上です。

◆(こんばのぶお君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。
 若者との意見交換の場につきましては、市長さんから活発な議論ができる方策などを検討するとの前向きな御答弁をいただき、大変頼もしく思います。実際に20代の若者たちと話をしますと、市長さんに会ったことがないとか、名前も知らないといった人も少なくありません。しかし、市長さんと話し合ってみたいとか、これからの名古屋はどういったビジョンで、どんなまちになっていくのかということを聞いてみたいという若者もおります。
 ネットサーフィンになれた現代の若者たちは、自分たちの思いをメールによって自在に表現します。反面、実際に人に触れる機会を失いつつあるのも事実であります。若者の意見を真正面から受けとめてくれる、同じ目の高さで話をしてくれる市長さんを若者は待望しております。開催の時期や内容につきましては、どうしたら積極的に若者が参加できる場になるかという点から、ぜひ同世代の若い市の職員の方の意見も柔軟に取り入れながら検討を進めていただきますよう要望いたします。
 また、救命講習については、先日、女性指導員の方とお話をする機会があった際に、もっと多くの人に心肺蘇生法などを実際に体験してほしいとの思いを熱く語っておられました。応急手当研修センターでの講習会の土日開催を実施するとの答弁をいただきました。これにより受講希望者の選択肢がふえることとなります。今後のさらなる普及推進を期待いたします。
 最後に、少子化対策についてでありますが、就学前児童に対する経済的支援等について、先ほど数点にわたり提言をさせていただきました。これに対し、市長さんから、大変力強い御答弁をいただきました。子育て支援策をさらに充実するとの姿勢を示されたことは、子育て世代に大いなる希望の光をもたらすものであり、名古屋市の未来を開く源泉力であると思います。今後の施策の展開を大いに期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)