(金庭宜雄君) 議長のお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。
初めに、中学生通学バッグの重量緩和の取り組みについてお尋ねをいたします。
中学生の通学バッグが重過ぎる、何とかしてほしい。中学校に通う子供さんを持つ親御さんから私に相談がありました。
私は、自宅近くに中学校があることから、登下校時に黒い大きな通学バッグを重そうに背中を曲げながら歩く姿を見ることも多く、相談をくださった親御さんの気持ちがすぐに理解できました。
我が家の子供たちも、今から15年以上前、同様に通学バッグを背負い通っていましたが、明らかに何かが違う。それは、通学バッグの大きさでも判断できるくらいに重量化していることです。
なぜこんなにも重そうな通学バッグになっているのか。調査を進めていくうちに、文部科学省の学習指導要領の改訂、いわゆる脱ゆとり教育の推進により教育内容が増加したことと子供たちの通学バッグの重量化との密接な関係があることがわかってまいりました。
これまでよりわかりやすく、より丁寧な学習環境整備は、私も異論はありません。しかし、教材の容量が増加し、加えて、部活動の道具に弁当、水筒など、子供たちが毎日持ち運ぶ重量は15キログラムを超えているのが実態であります。
文部科学省では、学習教材の検討に際し、児童生徒の学びやユニバーサルデザイン等に配慮した工夫などが行われ、10年前と比較して教科書のページが約30%増加したとし、大きさもそのほとんどがB5サイズであったのが、A4、AB、B4変型判などに大型化し、より詳しく丁寧に理解してもらうためカラーページがふえ、教科書全体の大型化と厚みの増加によって通学バッグが重量化しているのが主な理由であるとしています。
また、文部科学省では、通学時の対応については各自治体の教育委員会の判断に委ねているとし、名古屋市では、持ち帰らなくてよい教材などを教室に置いて帰る、いわゆる置き勉のルールを設けている学校もあると聞いております。
それでもなお、重い通学バッグを大切な成長期にある子供に背負わせることはいかがなものかと心を痛めている親御さんからの相談をいただいているのは私だけではないと思います。
この通学バッグが重いという件については、名古屋市のみならず、全国でも同じ問題を抱え、苦悶している中学生がいることも調査を進める中で判明しました。他都市での解決事例を調査するものの、皆目見つかりません。
その中で、広島市立牛田中学校PC--パソコンですね--PC放送部の生徒さんが、「学校が動いた!中学生の『カバン重い』」とのタイトルビデオ動画を作成し、生徒みずからが問題提起し、学校との協議を重ねた結果、置き勉で通学バッグの重量緩和に取り組んでいることを知り、早速広島へ調査に飛び、動画を作成したPC放送部の皆さんと美化委員会の生徒さん、校長先生や担当教職員の先生から置き勉について直接話を聞いてまいりました。
初めは、かばんが重過ぎる実態を問題提起として放送部員がビデオ制作に取り組んでいましたが、先生方もこの問題を解決できないものかと頭を悩ませていたそうであります。何とか教室への置き勉を許可してもらいたいとの生徒からの申し入れに対し学校側は、置き勉をすると家庭学習をしなくなるのではないか、教室がぐちゃぐちゃになるのではないか、ロッカーの物がなくなるのではないかといった理由で置き勉を禁止していました。これは全国でも同じ理由だと思います。
なぜ禁止になっているのかをPC放送部の生徒さんたちが熟慮する中で導き出した答えは、置き勉禁止の理由になっている事項は、全て生徒みずからの自覚により解決できることであり、自分たちへの信頼と生徒力が試されているのだという結論に至り、この気づきをもとに再度学校と協議をした結果、先生たちからは、本質的なことを子供たちが考えることが大事ではないかと評価した上で、一度やらせてみてはどうかとの意見があり、やってみて考えていくことが大事で、生徒を信じて任せてみようと牛田中学校の置き勉が始まったわけであります。
早速昨年の4月から6月にかけて、ルール作成に生徒みずからが自発的に取り組み、写真でカラー化が多い9教科の持ち帰りとなっていたものが、昨年度は5教科持ち帰りに変わり、皆さんのお手元にも配付してあります写真のとおり、今年度は写真のとおり国語と英語の2教科持ち帰りとなり、生徒の自覚がさらに深化すると同時に忘れ物も減ってきたそうです。これは、生徒自身が任されたという意識が芽生え、何をすればよいかを考えるようになったことが成長のあかしとして教室内の美化にも連動しているようです。
裏面をごらんください。
教室内のロッカーの写真をよく見てみるとわかりますように、実はロッカーの中に教科書は置かれていません。辞書であったり、ファイルであったり、リコーダーです。また、何も置かず全て持ち帰っているロッカーもあります。つまり、ルールで持ち帰る教科以外にも、生徒みずからがきょうの自分に何が必要であるかをしっかりと考え行動しているということが、ごく一部分を捉えた写真ではありますが、十分に読み取ることができます。
置き勉を通じて生徒が主体的に考え行動することは、誰かからの押しつけでもなく、むしろ子供の自主性を大きく成長させることにもつながり、広島市の牛田中学校の実践例を見ても大変参考になると考えます。
そこで、教育長に質問いたします。初めに、名古屋市立中学校における置き勉の現状についてお答えください。
次に、広島市の例を参考に、通学バッグの重量緩和を目標として、生徒の自主性を尊重した置き勉の協議を生徒と先生が一緒に推進することについていかがお考えでしょうか。御所見をお伺いいたします。
次に、小学校への防災ヘルメットの配備についてお尋ねをいたします。
今週月曜日、6月18日、午前7時58分ごろ、大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震が発生し、大切なとうとい命が失われました。心からお悔やみを申し上げますとともに、御冥福をお祈り申し上げます。また、被災し、けがをされた方々、避難所での生活を余儀なくされていらっしゃる方々に心からお見舞いを申し上げます。
大阪北部地震は、朝の通勤・通学者の多い時間と重なり、鉄道路線の中断、水道管の破裂など、ライフラインの寸断により市民生活が大混乱に巻き込まれた、都市型災害として多くの教訓を示唆した震災であると思います。
6月定例会での市長提案理由説明で、市長から、市民の皆様の生命、財産を守るため、引き続き防災・災害対策に万全を期してまいる所存であるとの決意表明が示されました。
名古屋市の防災・減災・災害対応に向けた万全の対策が、より一層図られることを切に願うとともに、私も議員として、改めてそのための行動と努力を惜しまず、力を尽くしてまいりたいとの決意で質問させていただきます。
このたびの地震では、高槻市の小学4年生の女子児童が登校中に小学校のプールのブロック塀の倒壊によりとうとい命が失われるという極めて痛ましい事故が発生しました。
これを受け、国では、政府と自民党、公明党の与党両党による協議会において、緊急に全国の指定された通学路の総点検、調査を実施し、工事が必要な場合は直ちに行い、できない場合は通学路から外すことも検討すべきであるとの指摘がなされ、これに対し、菅官房長官から、即座に通学路の総点検と調査を関係省庁に指示したとの回答があったと聞き及んでおります。
名古屋市会でも、市長から、通学路に面したブロック塀などがある市立学校の緊急点検指示をしたとの発言があったところでありますが、ブロック塀の耐震化は、1981年の法改正により基準が強化されており、改正基準に準じた施工となっているかどうかも重要な点であり、この点についてもしっかりと確認をお願いしておきたいと思います。
さて、我々公明党名古屋市議団は、東日本大震災の教訓を踏まえ、子供たちの命を守るという視点で、小学校への防災ヘルメットの配備について、本会議質問や毎年の予算要望において、市長に強く求めてまいりました。
教育委員会における防災ヘルメット配備の評価は、一旦揺れがおさまった後、次に発生する災害から避難する際も、落下物などから頭部を保護することは重要であるとの認識であり、市立小学校と特別支援学校小学部への防災ヘルメット配備を求め、平成25年度から毎年予算要求をしているとのことですが、その要求も通らず、いまだ配備もできず、全てにゼロ回答であります。
災害時には、子供たちの命は自分で守れとでも言うのでしょうか。学校施設の耐震化を進めているのは、子供たちの命を守る行政の責務があるからではないでしょうか。
これまで、災害時の子供たちの命を守ろうとの趣旨で、企業や団体等の方々から7校の小学校にヘルメットを寄附していただいており、本当にありがたいことであり、心から感謝申し上げます。
しかし、254の小学校と特別支援学校はいまだに未配備のままであり、きょう、あすにも発生するかもしれない南海トラフ地震に無防備な状態と、大阪府北部地震を目の当たりにし、とても私は看過することはできません。
そこで、市長にお尋ねいたします。早急に小学校への防災ヘルメットの配備を完了すべきだと思いますが、いかがでしょうか。市長の明快な答弁を求め、第1問とさせていただきます。(拍手)
市長(河村たかし君) 小学校への防災ヘルメットということでございますが、これは田辺さんから何遍も伺っておりまして、これだけはまだちょっと実現されておらぬと……(「これだけじゃないぞ」と呼ぶ者あり)ほとんどこれだけのような気がしますが、その理由は、守山の小学校も見に行ってきまして、いろいろ話してきましたけど、わかりやすいというか、今回の大阪の大変な悲劇においても、やっぱり学校の外で起きておるんですね、これが。
だから、僕は応援するんだったら、いわゆる校内に置くだけではなくて、通学ないし外で遊ぶときなんかにも必ずかぶってもらえるように、そういうヘルメットに対して助成をするというの、これ、やっておるところもありますので、自治体で。そちらをやったほうがもっともっと子供さんや親御さんのためにもなるという気がしておるわけです。
だけど、せっかくですので、しかし、中に、両方やるというのもないわけじゃないです。学校の中でもいいけれども、学校の中の場合は、場所がちょっとということをある校長さんが言っておられて、今、折り畳みのものとかいろいろ進んでおるようですけど、じゃあ、廊下に置いておくということになると、その瞬間に廊下までは出られませんので、なかなか。だから、そういう問題もあるということで……(「ないよりはあったほうがいいでしょう」と呼ぶ者あり)それでもないよりあったほうがええのか。それか、やっぱり普通考えると、ヘルメットそのものを助成して、外で遊んでおるときとか通学のときとか、そういうときにかぶってもらったほうが、それは、どういうんですか、安全というか、ためになることになりますと。物すごい大きいですから、そのほうの確率が。
現に守山で話しておったときも、子供さんが外で遊んでおるときにやっぱり事故が起きたということを言っておられましてね。だで、ということでございますけど、せっかく何遍もありますので、これは。じゃあ、両方やったほうがええということになると思いますね。私はやっぱり、まず、ヘルメット助成というのは絶対、もしやるんだったらそっちをやることは必要だと思いますよ。
そういうことで、大分ヘルメットメーカーも来てもらっていろいろ考えましたこともありますけど、早速また検討し直したいと思います。
◎教育長(杉崎正美君) 教育委員会に対しまして、中学生通学バッグの重量緩和の取り組みについて、2点のお尋ねをいただきました。
初めに、いわゆる置き勉の現状についてでございますが、通学時の生徒の負担を軽減するために、多くの中学校において、学校に資料集、絵の具等を置くことを許可するなど、学校の実態に応じて対応を進めているところでございます。
次に、置き勉の協議を生徒と教員が一緒に推進することについてでございますが、議員御指摘のとおり、この動画に見られる取り組みは、生徒が自分自身の問題と捉え、自分たちでできることを学校に提案した結果、生徒と学校との信頼関係が深まり、学校のルールが変わっていった好ましい例となっております。
教育委員会といたしましては、通学バッグの重量緩和を目標として、生徒と教員が協議しながら一緒に推進したこの事例は、生徒自身が主体的に考え、行動する機会として大変意義あるものであると捉えております。今後、機会を捉えて、各学校へも紹介してまいりたいと考えておるところでございます。
以上でございます。
(金庭宜雄君) それぞれ御答弁いただきましたけれども、まず、中学生の通学バッグの重量緩和の取り組みについて、教育長さんのほうから御答弁をいただきました。ありがとうございました。協議を一緒にしていくことを、また紹介していただきながら進めていただくという話でございました。
私は、学校におけるこの置き勉というのは、現状におけるあくまでも暫定的な対策であって、本来は、文科省において、教科書等の改善への取り組みが最も重要であると、こういう認識を持っております。その上で、我が党の参議院議員へみずから陳情に出向いて、教科書等の問題を共有させていただいております。
そして、これを踏まえて、今月の6月12日の参議院文教科学委員会において、佐々木さやか議員が質問に立ち、まずはこういう通学かばんが重いということについて、きちんと実態調査を行っていただき、できる限り置き勉のような対策をとるように文科省から考え方を示すべきではないかと、このようにただしたところ、林文部科学大臣からは、各教育委員会等に対して、各学校における適切な指導がなされるように、各種の会議等で周知をしてまいりたいと考えております、こういう答弁がなされております。
今後の国の対応に期待を持って注視をしつつ、まずは名古屋の公教育における子供たちの自主性の育みと成長への取り組み、そして、置き勉ないし、いろんな協議によって学校としっかりとコミュニケーションをとっていただいた上で、少しでも緩和ができるような取り組みを期待しておりますので、早期の対応、検討をよろしくお願い申し上げておきたいと思います。
それから再質問を、市長さん、させていただきたいと思います。
これまで市長さんとは、子供の命を守るということで、これは第一優先であるというのは私と共通認識が一致しているというふうに理解をしております。
市長提案理由説明の中にも、私としましても、子供たちの安心・安全を確保するためと、このように発言をされていらっしゃいます。この予算要望の場において、市長さんと防災ヘルメットの重要性についてはこれまでも議論してきたんですけれども、先ほど答弁をいただいたとおり、また考えます、もう少し考えます、しっかりと考えます、これが始まって、実はこれ、最初に平成23年にこの防災ヘルメットの話をさせていただきました。いわゆる東日本大震災の後、直後ですね。
7年間ずうっと考えてきていただいたんでしょうか。それとも、我々が要望したときに思い出して、考えますというふうにおっしゃったのか、それはわかりませんが、まず、これは考えるよりも配備をしてから考えるということが優先順位じゃないかなというふうに思いますけれども、市長さん、どういうふうにお考えですか。
市長(河村たかし君) これは大変、私も頭を注意しておりまして、実際整備されております守山の廿軒家だったかな、小学校に行ってきまして、それから、業者の方にも何遍も来ていただいてというふうに考えたところがちょっと中断しておりましたけど。
やっぱり一応、全員になるかどうか知りませんけど、みんなにヘルメットを外でもかぶってもらえるように補助するというのはまず大事じゃないかとは思っておりますけど、両方やるということもありますので、それは、今言いましたように。
あんまり死亡事故に確率というのはちょっと変な言い方ですけど、やっぱりその校長さんも言っておったけど、外で遊んでおるときに事故が起こったことがありますと言っていましたので、ようまた検討しますが、両方やるか、それとも、まず最初にヘルメット補助をして、子供さんが、今回のような通学の場合とか、外で遊ぶときにもヘルメットをかぶってもらうということは、僕はまず重要ではないかと思っておりまして、学校も、せっかくの、もう何年もなりますけど、同じでございますので、一遍そこのところは本当に、当たり前ですけど、真剣に考えたいと思います。
(金庭宜雄君) 真剣に考えていただき、そして、実行していただきたいと、本当にそれは切に願っております。
やっぱり待ったなしだと思いますよ。もうこの7年間、幸いにもというか、言い方は変ですけれども、大地震はこの名古屋においてまだ起きていません。もしもそういったときに、あのときに配備していればよかった、こういうことじゃ遅いんですよ。本当にきょう、あすにも起こるかもしれないと言われている、そういう事案であります。
ヘルメットで全てが守れるかどうかは別の議論ですけれども、また、配備しておいて、それを被災したときにかぶって下校するといったことと、それと、通常からそれが利用できることというのも、それも整理が必要だと思います。まずは配備をする、これが大事だというふうに思います。
先ほども私の第1問の中でお話をさせていただきましたけれども、ホームページで教育委員会のほうからヘルメットの寄附を呼びかけたところ、もう既に7校配備が進んでいます。これは、民間の企業であったり、団体の方が配備をしてくださっています。7年間も別に考えていないですよ。これは子供の命を守るためには大事なんだと、こういうことで配備をしてくださっていると私は思っております。
ここで、補助するのか、全額するのか、両方要るのか、こういったことはぜひ方針を決めていただき、そして、その中で、この補正予算を打ってでも早急にやっていただきたいというふうに思いますので、ぜひともこのことは市長さん、きょう約束をしていただけますでしょうか。
市長(河村たかし君) せっかくのお話でございますので。
ほんで、どうしても学校内でなけりゃいかぬかね。だから、外でも使えるように助成したほうが、まず第一歩ね。その後は学校内でもいいけど、そっちでもよかったら、やっぱり僕は助成にして、子供さんには必ずヘルメットをいろんなところでかぶってもらうと。通学のときも、学校の帽子の問題は出てきますけど、やっぱり通学のときもヘルメットをかぶって来てもらうというような格好ではいかぬでしょうかね。
いずれにしろ、もう結論を出します、それじゃあ。
(金庭宜雄君) 結論を出していただくということでございます。運用の仕方については、学校、先生、そして子供さんたちの声もしっかりと聞いていただいた上で、どの方法が一番ふさわしいのかといったことを絞り込んでいただいた上で、早期の配備を強く求め、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)