平成20年11月定例会(11月21日)

青少年の薬物乱用防止対策について

定額給付金について


◆(こんばのぶお君) おはようございます。
 お許しをいただきましたので、通告に従い順次質問いたします。
 初めに、青少年の薬物乱用防止対策について質問いたします。
 昨年、名門大学ラグビー部員による大麻吸引事件は衝撃的なニュースとなり、スポーツファンを初め多くの国民に衝撃を与えました。以来、今日に至るまで、自宅での大麻の栽培や吸引による芸能人や大学生の逮捕が毎日のように相次いで報道されるなど、青少年を初めとする一般市民への薬物汚染が静かに潜行しており、深刻な問題となっております。そのほか、違法ドラッグなどを若者みずからがインターネットを通じて入手するなど、身近な経路が逆に薬物乱用の根絶を難しくしています。
 東京都薬物の濫用防止に関する条例を制定した東京都福祉保健局に先日出向き、調査をしてまいりましたが、東京都においても問題の根深さを深刻にとらえ、根絶に向けて全力で取り組んでおりました。
 大麻やMDMAなどの違法薬物は、覚せい剤へのゲートウエードラッグと言われており、水際での防止をするために、中学生や高校生など若年層への啓発活動が重点対策のイの一番であるとして、内閣府発表の第三次薬物乱用防止五か年戦略でも重要視されています。特にここでは、青少年による薬物乱用の根絶と薬物乱用を拒絶する規範意識の向上を目指していくことが明確に示されています。
 そこで、健康福祉局長にお尋ねします。若者を初め一般市民に対して、これら薬物乱用防止に向けた実効性ある啓発活動が求められますが、本市としてどのように実行していくお考えをお持ちなのかお尋ねいたします。
 東京都では、小学生を対象とした親子の薬物乱用防止教室の開催、中学生を対象とした薬物乱用防止ポスターや標語の募集をし、優秀作品をキャンペーン用のリーフレットに掲載し配布しています。また、高校生による薬物乱用防止高校生会議の開催を通じて、子供たちみずからが薬物の恐ろしさを表現し、同年代に向けてメッセージを送っています。
 本市における薬物乱用に関する正しい知識普及のための啓発活動はこれまでも行われていると思いますが、特に中高生など若年世代に向けた正しい知識の普及啓発は重要であると考えます。
 子供たちが安易に薬物に近づかないようにするためにも、日ごろから私たち大人や父兄が注意深く見守ることも重要であります。特に、違法ドラッグはインターネットなどを通じて簡単に入手できるとも言われており、おもしろ半分やちょっとした好奇心から知らず知らずのうちに薬物乱用に手を染めているケースが多いのです。また、ダイエットに効く、疲れがとれるといったものから、友達から勧められ、断ると仲間外れにされるのが怖かったなどの導入要因もあります。
 忍び寄る薬物から子供たちをいかにして守っていくのか、教育長の御決意をお聞かせください。また、教育現場である学校を通じての啓発活動を今後どのように展開されるのか、あわせて教育長にお尋ねいたします。
 次に、定額給付金について松原市長に質問いたします。
 今月12日、政府・与党による経済対策の柱として、定額給付金の概要が決定いたしました。給付のタイミングはいつになるのかなど、私のもとには心待ちにされている市民の方々からの問い合わせがたくさん寄せられています。定額給付金に対してさまざまな意見が交わされる中、インターネットのアンケートでは、回答者の9割を超える人が給付金を受け取ると答えており、早期の実施を待ち望んでおられることがここからもわかります。
 今、市民を取り巻く生活環境は、原油高による原材料の高騰などにより、生活必需品は昨年同時期に比べ約6%も値上がりしている、逆に所得は下がっているといった、いまだかつてない大変に厳しい経済状況下にあります。先日も、GDP、国内総生産が2期連続マイナス成長との報告があり、あらゆる政策を総動員しての経済政策の実行が必要であるとの指摘もあります。こうした観点からも、定額給付金の実施は景気への下支えとなり、何よりも生活者の視点に立った国民の要望にかなうものであります。
 定額減税の実施効果について日本経団連の御手洗会長は、中・低所得者層の生活を重点的に支援するのが精神であり、景気対策として速やかな実行が必要と述べられ、日本総合研究所の藤井調査部長は、低所得者の所得や雇用環境が悪化していることから、給付金はほぼ全額が消費に回り、GDPを0.4%程度押し上げる効果があるとし、東京新聞でも、給付金を受け取ったら7割近い人が消費に回すと答えているとの報道がありました。
 実施時期と目される年度末に至っての実務作業ともなると、相当量の仕事をこなさなければならず、本市職員の皆様の御苦労を考えれば、大変な作業になることは想像にかたくありません。
 そこで、松原市長にお尋ねいたします。
 給付に至る手続の詳細などについては自治体の判断にゆだねられていますが、極力事務手続を簡便化することで事務の効率化を図り、少しでも早く市民の手元に届けるためにも給付対象者への所得制限は設けるべきでないと考えますが、いかがでしょうか。市長の見解をお伺いします。
 今回の定額給付金は、経済政策と生活支援策の意義から実施されるということですが、これら両面での効果についてどのようにお考えか、松原市長の率直な見解をお伺いします。
 また、本市では対策担当を設置し、実施に向けた実務検討をなされていくとの報道がありましたが、今後国に対してどのような申し入れをしていくのかお尋ねいたしまして、私の第1回目の質問を終わります。(拍手)

◎市長(松原武久君) 定額給付金についてお尋ねをいただきました。
 まず、所得制限についての見解でございますが、定額給付金につきましては、現時点で制度が明らかになっておらず、詳細が不明な状況でございます。こういう中で、所得制限につきましては、新聞報道による総務大臣の、自治体が所得制限を設けるなら拒まないという発言はありますものの、課税のために保有する所得情報を目的外に利用できないという法令上の制約、所得の具体的な確認作業の困難さなどをあわせ考えてみますと、実際に所得制限を設けるのは難しいのではないかと考えております。今後、制度の詳細が国から示された段階で具体的に検討してまいりたいと考えております。
 経済政策と生活支援策についての見解をお尋ねいただきました。
 今回の定額給付金は、10月30日に政府・与党におきまして、現下の景気後退の局面における追加経済対策の中で、生活者の暮らしの安心の視点のうち、家計緊急支援対策として決定をされたものでございます。経済政策と生活支援策の両方の側面をあわせ持つものと考えておりまして、その効果について期待をしておるところでございます。
 国への申し入れについてでございますが、去る11月14日に指定都市市長会として次の4点の緊急意見を政府に申し入れました。制度の根幹部分を明確にしてわかりやすい制度とすること、制度について国民への周知を十分に図ること、具体的なスケジュールと内容を早期に決定し明示すること、支給に必要な事務費や人件費を含め各自治体に負担が生じることのないよう財政措置を講ずることの4点でございます。
 今月の28日には、総務省による事業実施方式の素案の説明会も予定をされており、こういった機会もとらえまして、必要に応じ本市として意見を伝えるなど、よりよい制度の実現に向けて要望してまいりたいと考えております。
 224万人、100万世帯を超える本市におきましては、支給に当たって事務量が膨大になると想定をされますが、実施が決定されれば、市民に混乱が生じることのないようきちんと対応することが重要なことと考えておりまして、万全の準備に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◎健康福祉局長(長谷川弘之君) 青少年の薬物乱用防止対策について、市民への啓発活動について健康福祉局にお尋ねをいただきました。
 最近、連日のように大麻による事件が新聞報道等で取り上げられ、大変懸念をしているところでございます。愛知県における平成19年の薬物事犯の検挙者数は1,044人と近年横ばいの状況にありますが、大麻による検挙者数は増加傾向にございます。また、インターネットや携帯電話の急速な普及に伴い、薬物がより容易に入手でき、市民の身近なところに薬物が入る、こういったことについても懸念がされているところでございます。
 大麻を初めとした薬物乱用は、幻覚や妄想など乱用者本人の健康被害にとどまらず、社会的にもその代償は大変大きなものがございます。市民の健康を守るため、薬物の乱用防止の普及啓発活動を実施することにより、市民の皆様に薬物乱用に関する正しい知識を身につけていただくことが重要であると認識しております。
 本市では、保健所及び健康福祉局内の環境薬務課に薬物相談窓口を設置するとともに、全国運動として展開されます不正大麻・けし撲滅運動を初め「ダメ。ゼッタイ。」普及運動、麻薬・覚せい剤乱用防止運動に連動してキャンペーン活動を実施しているところでございます。
 今後の方針でございますが、愛知県や教育委員会などとの連携、関係機関と連携を一層深めながら、講習会の開催、街頭活動を実施してまいりたいと考えております。また、特に若者に対しましては、大学と協働した効果的な啓発活動にも取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◎教育長(佐合広利君) 青少年の薬物乱用防止対策に関しまして、教育現場での啓発活動についてお尋ねをいただきました。
 薬物乱用の防止につきましては、小学校では6年生の体育の保健領域、中学校では3年生の保健体育、高等学校では保健の教科の中で薬物乱用の有害性、危険性について正しい知識を習得させ、拒絶する意志と行動選択の力を身につけさせることをねらいとして指導しております。また、総合的な学習の時間や学級活動の時間においても、平成19年度では、小学校で64%、中学校で52%、高等学校では94%の学校が薬物乱用防止教室を開催しており、そのうちのおよそ75%の学校では、警察官、麻薬取締官、学校薬剤師などを外部講師に招くなど、指導の充実に努めております。
 また、保護者への啓発として、厚生労働省作成の薬物乱用防止啓発読本を小学校6年生の保護者に配布をいたしております。
 なお、ことし7月には、文部科学省が募集をしました高校生などによる薬物乱用防止広報啓発作品に本市立の高校生がアニメーション作品を応募したと、そういった事例も見られます。
 薬物乱用は、健康被害だけでなく暴力行為などの犯罪につながり、社会的にも深刻な影響を及ぼすため、学校における薬物乱用防止教室を一層推進していくことが重要であるというふうに考えております。特に昨今、青少年を中心に問題となっております大麻や化学的に合成された麻薬の一つであるMDMAなどの違法薬物につきましては、その有害性や危険性に関する指導を強化する必要があるというふうに考えております。
 今後の取り組みでございますが、子供たちが将来にわたって自分の健康を守るため、薬物を乱用することがないように保健学習を進めるほか、薬物乱用防止教室につきましては、関係機関とのさらなる連携を深め、実施率を高めるなど学校の教育活動全体を通して指導の徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、御指摘の他都市の事例も参考に、名古屋の子供たちが薬害に巻き込まれないように啓発をし、薬物乱用を拒絶する規範意識の向上を図ってまいりたいというふうに考えておりますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
 以上でございます。

◆(こんばのぶお君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
 要望をさせていただきます。
 まず、薬物乱用防止についてですが、最近では大学生による大麻汚染のニュースが連日報道されています。たばこに比べて害がないとか、外国では認められているといった誤ったうわさから、単純に手を出す若者が多いとの指摘があります。若者を薬物に近づけないためには、子供のうちから最初の一歩を踏み出させないための啓発活動が最も重要であると考えます。大都市名古屋が薬物汚染のターゲットになっているとの警鐘を鳴らす識者の指摘もあります。警察や関係機関と連携を図っていただき、市民に対して薬物乱用対策のメッセージをしっかり発信していただくことを要望いたします。
 次に、定額給付金についてですが、実施の時期が年度末と言われており、ただでさえ忙しいときに大変な事務量を抱え込みながらの給付手続というのは、職員の方の御苦労は大変だと思います。新聞やテレビの報道を見ても、市町村での事務手続の煩雑さを危惧する首長さんもいらっしゃいますが、一方、市民のためにとの視点で前向きに取り組もうと意欲的な方もいらっしゃいます。
 宮城県栗原市の佐藤勇市長のコメントを紹介します。
 ことし6月の岩手・宮城内陸地震の被害を受け、景気悪化の追い打ちから中小企業や商工関係者は大変な思いをしています。市民が欲しいものも買わないで我慢している状況の中、定額給付金の決定は本当にありがたい。本市で福祉灯油を実施した際、職員が対象世帯を訪問して灯油券を配布しました。今回の定額給付金においても、困っている市民に尽くしたいとの気持ちを伝えたく、幹部職員が先頭に立ち、職員で手分けして市民のお宅を訪問し、手渡しでの支給を考えています。こうすることで市民とのコミュニケーションが深まり、市への苦情や意見を吸い上げられると確信しています。不在の場合などは窓口交付か振り込みを検討していますと述べられております。
 ちなみに栗原市の人口は8万5000人ですが、市域面積は名古屋市の約2.5倍あります。本市職員による個別手渡しは無理にしても、どうか名古屋市民の生活と経済を支えるとの気概で、職員が一丸となって全力を挙げ取り組んでいただきたいと思います。
 先日も近所の方と話をしていました。子供さんが3人、夫婦と両親の7人家族のその御家庭では、今の試算では12万4000円の給付金額です。これで地デジの準備ができる。今から待ち遠しいなとおっしゃっていました。
 今月28日の総務省との会合で、名古屋市の要望や意見をどしどしぶつけていただき、国との連携をしっかりとって万事遺漏なきよう取り組んでいただきますよう要望し、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)