◆(こんばのぶお君) お許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。
初めに、市設建築物のアセットマネジメントにおけるESCO事業の取り組みについてお尋ねいたします。
本市は、市民や事業者との協働のもと、環境首都なごやの実現を目指して、環境負荷の少ない持続可能な都市システムを創造するまちづくりを進めております。
その取り組みの一つとして、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議、いわゆるCOP10の本市開催への誘致を進めているところであり、この世界最大級の環境国際会議が本市で開催されたとすると、環境首都なごやを世界にアピールする絶好の機会ともなります。
そのためにも、会議の誘致や開催に向けた準備を進めるだけではなく、さらなるごみ減量や地球温暖化対策、生物多様性に向けた取り組みなど、本市の環境施策をさらに充実させていく必要があると考えます。
その環境施策の一つとして、公共建築物の省エネルギー化の方向性についてお尋ねいたします。
私は平成17年6月本会議において、ESCO事業を用いた省エネルギー化を導入検討してはどうかと提案し、本市の考えを尋ねました。
ESCO事業とは、建物の電気設備などの省エネルギー化を、資金調達から設計、施工、管理まで一括して契約年数を決めて委託し、省エネによって得られた経費の節減分から事業者に報酬などを支払うシステムで、ハードのシステムそのものを見直すものであり、市場原理を利用した有効なCO2削減対策と言われているものです。
このESCO事業については、昨年7年に改定されました第2次名古屋市地球温暖化防止行動計画において、同じく昨年12月に案の公表がなされた新財政健全化計画などにおいても導入が位置づけられており、私自身、大変に心強く感じているところであります。この観点からも、本市市設建築物の省エネルギーによる環境施策は重要であると考えます。
一方、本市公共施設の見直しに当たり、長期的視点から計画的に統廃合や維持、補修、更新を実施することによる長寿命化を図るとともに、省エネルギー化を推進する市設建築物のアセットマネジメントシステムを推進していく予定であることが示されており、この推進の中で、ESCO事業の導入による既存建築物の省エネルギー化を進めていく対策は極めて重要であると考えます。また、同時に、コストの平準化を図っていくことも大変重要な方策であります。
そこで、新たにアセットマネジメントシステムを導入していく中で、コスト面のみならず環境面でどのような視点で方針を作成し、ESCO事業についてどのような検討を進めていくのか、市設建築物のアセットマネジメントシステム導入調査を所管する住宅都市局長にお尋ねいたします。
次に、本市発行の印刷物におけるユニバーサルデザインへの配慮について質問いたします。
本市が作成し、市民に配布する書籍や冊子、パンフレットや広報紙、ポスターなどの印刷物には、すべての市民に対して特段の配慮が必要であることから、本市におけるユニバーサルデザインに配慮した印刷物の必要性と今後の取り組みについて健康福祉局長にお尋ねいたします。
ユニバーサルデザインとは、高齢者や障害者、外国人や子供など、すべての人の立場に立って構想、企画し、つくるということを意味し、印刷物の場合は、さまざまな読者の立場に立った、よりわかりやすい情報提供が求められます。
例えば、文字の大きさ、表現、表記、配色、目の不自由な方への情報提供、写真やイラストの利用など、多角的な検証、検討が必要になってきます。
これまで、本市発行の印刷物については、各局においてそれぞれの取り組みや配慮がなされてきたと思いますが、本市においてユニバーサルデザインに配慮した印刷物を作成する上で、統一的なガイドラインを策定するべきと考えますが、今後の取り組みについてお尋ねいたします。
また、目の不自由な方への情報提供の一つの方法として、従来の音声テープがありますが、最近では、文書情報をコード化したものを機械に読み込ませる、活字文書読み上げ装置が活用されています。
平成18年度の国の補正予算において視覚障害者等情報支援緊急基盤整備事業が成立し、活字文書読み上げ装置への10割補助が決定しました。これを受けて、本市における区役所、支所への設置展開が待たれるところですが、導入時期や取り組みについても、あわせて健康福祉局長にお尋ねいたします。
次に、都市農業の振興についてお尋ねいたします。
昨年3月に、本市における農業振興基本方針が示されました。現在の本市農業の現状は、平成17年の調査によりますと、農地面積では市域面積の約5%であり、平成7年調査と比較して約4分の3に減少し、農家戸数も同様に4分の3に減少、農家人口は本市人口の約0.8%となり、農業に携わっている人の年齢は約4割が70歳以上です。生産量もこれに比例して減少しており、生産物の自給量では、米で7日分、野菜で18日分相当です。
都市農業を持続的に発展させるためには、さまざまな課題への取り組みが必要であります。市民アンケートによると、多くの市民は名古屋市内での農業の必要を認めており、農業に対しては、より新鮮で安全な食糧の生産、供給を望んでいるとの声が寄せられています。
また、農作業の体験を希望している市民も多く、緑区や天白区ではこういった希望者が集まり、農業ボランティアとして農業従事者の高齢化や人手不足を補うなど、ボランティアメンバーの育成や派遣により、多くの実績を上げております。
そこで、こういった農業体験を希望する市民のマンパワーを今後どのように活用していくお考えなのか、緑政土木局長にお尋ねします。
あわせて、農業の現場では、農地や農家の減少や後継者不足など深刻な問題と直面しており、農業従事者にとって今後の農業経営に多くの不安を抱えているのも事実です。
食料自給率の向上や食育の推進などが叫ばれている中、市民に最も身近な都市農業が年々減少している現状をどのようにとらえ、これからの名古屋の農業をどのように育成推進していくのか、都市農業の振興策を緑政土木局長にお尋ねし、私の第1回目の質問を終わります。(拍手)
◎住宅都市局長(尾崎好計君) 市設建築物のアセットマネジメントにおけるESCO事業の取り組みにつきまして、お尋ねをいただきました。
アセットマネジメントは、市設建築物を資産としてとらえまして、長期的視点から計画的な維持、更新を実施することによりまして、投資の抑制と平準化を図るものでございます。新財政健全化計画案などにおきましても、その推進が位置づけられたところでございます。議員の御指摘のように、市設建築物の省エネルギー化は、アセットマネジメントの一つの柱となるものでございます。
特に、民間の資金とノウハウを活用いたしますESCO事業は、省エネルギー化の改善経費を光熱水費の削減で賄えますことから、大きな期待をされているところではございますが、全国的には、まだ一部の自治体におきまして実施されるにとどまっておるのが現状でございます。
本市におきましては、ESCO事業が環境配慮とコスト削減を両立できる事業でありますことから、環境首都なごやにふさわしい施策である、このように認識いたしておりますが、ESCO事業導入に当たりましては、課題も多くございます。現在、関係局と連携しながら検討を進めているところでございます。
今後の方針でございますけれども、アセットマネジメントシステムの本格導入に向けましてガイドラインの策定を進めてまいりますが、その中で、ESCO事業を環境面にも配慮いたしました市設建築物の省エネルギー化の重要な手段の一つとして位置づけまして、ESCO事業の導入指針、対象施設の選定基準などにつきまして、関係各局で構成いたします推進検討会に諮りながら検討を深めてまいりたいと考えておるところでございます。
以上でございます。
◎健康福祉局長(松永恒裕君) 本市発行の印刷物におけるユニバーサルデザインへの配慮について、2点のお尋ねをいただきました。
まず、ユニバーサルデザインに配慮した印刷物のガイドラインの策定についてお答えをさせていただきます。
ユニバーサルデザインとは、議員のお話にもございました、年齢、性別、身体などさまざまな特性や違いを超えて、できるだけすべての人に配慮した利用しやすい環境、建物、施設、製品等のデザインをしていこうと、そういうような考え方でございます。今後、こうした考え方を取り入れて行政施策を展開することが重要であると考えております。
現在、本市では、公共的建築物などハード面の整備につきましては、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れました福祉都市環境整備指針を策定しております。
しかしながら、印刷物という観点からいえば、「わかりやすく親しみやすい文書にするための提言」とか、「色覚特性に関する印刷物等作成上の配慮事項」、さらには、「~名古屋市職員のための~ 男女平等参画の視点からの公的広報物ガイドライン」等の基準を策定し、個別に対応しているところでございますが、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた統一的なガイドラインは現在のところ持っていないという状況でございます。
そこで、今後の対応といたしまして、議員御指摘のユニバーサルデザインに配慮した本市発行印刷物のガイドラインの策定につきましては、今後、他都市の先進的な取り組みも参考にし、検討してまいりたいと考えております。
次に、活字文書読み上げ装置の各区役所、支所への設置についてお答えをさせていただきます。
視覚障害者の方への情報支援機器の一つとして、議員御指摘の活字文書読み上げ装置がございます。
視覚障害者に対する情報バリアフリーを一層促進するため、活字文書読み上げ装置を各区役所、支所に設置し、相談支援の充実を図ることは必要なことと考えております。
今後の取り組みや導入時期についてでございますが、国の視覚障害者等情報支援緊急基盤整備事業によりまして、県の基金を活用することから、本年6月以降に区役所、支所に1台ずつ、合計21台の設置をしたいと、そのように予定をいたしております。
また、情報支援の手段として活字文書読み上げ装置を有効に活用するために、今後、音声コードをつけた行政文書、印刷物の作成を全庁的に推進することにも努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
◎緑政土木局長(渡辺恭久君) 都市農業の振興についてお尋ねいただきました。
都市農業や農地は、市民に新鮮で安全な農作物を供給するとともに、環境の保全、防災、農業との触れ合いなど多面的な機能があり、多くの市民が都市農業の必要性を感じているものと認識しております。
一方で、都市化の進展とともに、御指摘のとおり、農地や農家が減少し、農家の高齢化や後継者不足も深刻な問題であることも認識しているところでございます。
このような状況に対応するため、昨年3月に、本市の農業振興基本方針であるなごやアグリライフプランを策定いたしました。
市民の農業へのマンパワーの活用といたしましては、みずから農業を楽しみながら農家の作業を支援する農業ボランティア団体の活動区域の拡大を一層支援してまいります。
また、農家開設型の市民農園の拡充を図り、市民と農業のかかわりをより深めてまいりたいと考えております。
また、農家への農業振興策といたしましては、農地の基盤整備事業による優良な農地の確保、担い手としての地域のリーダーとなる認定農業者の育成、地産地消の推進などに引き続き取り組んでまいります。
さらに、農薬や化学肥料を削減する環境保全型農業や、八事五寸ニンジンなど名古屋を代表する農産物の品質向上や生産量の拡大につきましても、農家とともに推進してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、今後とも、市民の豊かな暮らしづくりに役立つ、やりがいと誇りの持てる都市農業の振興に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
◆(こんばのぶお君) それぞれ前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
ESCO事業導入についてですけれども、環境配慮とコスト削減を両立できる事業として、環境首都なごやにふさわしい施策と位置づけられており、本市における初めの一歩が待たれるところでございます。地球温暖化による異常気象が深刻な問題となっています。ESCO事業の早期導入を検討していただくことをもう一度要望しておきたいと思います。
また、都市農業の振興についてですが、名古屋の農業を継続していくための積極的な取り組みをしていくとの答弁がありました。しっかりとお願いしておきます。
先日、農家の方と懇談した折に、強く感じたことがありました。それは、農作物は地球からの贈り物であるということです。真の環境首都なごやを目指す中で、環境をはぐくむ農業、農業がはぐくむ環境という考えも大切な視点であるということを申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)