◆(金庭宜雄君) 議長のお許しをいただきましたので、本日最後でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
通告に従い、質問をさせていただきます。
初めに、市営交通事業経営健全化計画への取り組みと、名古屋圏における公共交通網の今後の展開についてお尋ねいたします。
大正11年8月1日、名古屋に路面電車が走り始めてから、名古屋市営交通は昨年90周年の佳節を迎えました。
名古屋市営交通は、これまで安心・安全で快適なより利便性の高いサービスを目指し、地下鉄の延伸整備や車両更新、高齢者や障害者に優しいノンステップバスの導入や、地域巡回バス路線を初めとする路線の見直しなど、地域に根差した公共交通の充実を目指した展開により、市民にとって身近で大切な交通手段として、私たちの暮らしに大きく貢献しています。
しかし、社会情勢やライフスタイルの変化など、さまざまな社会的要因などを経て経常収支が悪化し、局を挙げて事業経営の改善に向けた取り組みが実施されているところです。
これは、名古屋市の交通戦略である自動車と公共交通との割合を7対3から6対4への着実な移行を推進していく上でも重要な責務であると考えます。
そこで、交通局長にお尋ねいたします。平成22年3月に策定された市営交通事業経営健全化計画への取り組みの進捗状況と今後の見通しについてお答えください。
最近、私の周りでも、長年の自動車利用をやめ、日常の移動をバスや地下鉄にシフトしている高齢者の方がふえています。
名古屋市における今後の高齢者人口の推計によると、65歳以上の人口は、2005年で約40万人、2015年で約55万人、2035年には約62万人と増加が見込まれております。ますます公共交通の利用増が予想されるとともに、若者の公共交通利用も増加していることからさらなる利便性の向上が求められています。
利便性の向上策の一つとして、3月23日より全国10の交通系ICカードの相互利用ができるようになります。名古屋のマナカを初めとするIC乗車券1枚あれば、全国どこでも利用でき、公共交通の全国利用促進を目指したサービス展開となります。
都市インフラである公共交通網を3大都市圏で比較した場合、東京圏や大阪圏では、JRを初めとする多くの民間鉄道事業者が中心となり、広範な公共交通網を構築しているのに対し、名古屋圏では、市営交通が中心的役割を担ってきています。
東京圏と大阪圏は、隣接する県にまたがる広範な公共交通ネットワークが構築されており、相互乗り入れなど利用者にとってのメリットがIC乗車カード利用でさらなる利便性を実感することができます。これに対し名古屋圏は、交通ネットワークでは東京や大阪と比べ劣ることから、いかにして利用者サービスの向上を図っていくのかが今後の課題であると言えます。
そこでお尋ねいたします。通勤、通学などふだんからの名古屋圏域での利用者のみならず、他地域から名古屋を訪れた方にもメリットが実感できるような名古屋圏独自の利用者サービスを検討すべきであると考えます。
例えば、市営交通と民間鉄道とのお得な乗り継ぎ切符を検討するなど、相互利用を促進することを目指した総合的な公共交通利用促進協議を民間鉄道事業者に積極的に働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。交通局長の御所見を求めます。
次に、国民皆保険・皆年金制度の理解に向けた本市の取り組みについてであります。
我が国の社会保障制度は、私たち国民の生活を支える最も重要な社会基盤であります。中でも、医療保険と年金保険は、全ての国民が加入する国民皆保険と国民皆年金制度となっており、世界に誇る社会保障制度と言っても過言ではありません。
少子化とあわせ高齢化が急速に進展していく中、今後、この社会保障制度をいかに持続可能なものとし、社会の変化に対応しながら機能を充実することができるか、国において、平成20年に社会保障のあるべき姿と、今後の財源課題を国民目線で議論するとした社会保障国民会議が内閣総理大臣のもとに設置されました。
これは、当時の社会保険庁の不祥事などによる混乱により国民の国への信頼を大きく失墜させた経緯があり、設置されたことは記憶に新しいところです。この国民会議の報告書には、社会保障がいかに国民の日常生活に直接大きな影響を持つ重要な制度であるかを政治や行政当局、そして、国民にも改めて実感させるものであったと、社会保障国民会議の設置に至った経緯が述べられています。
あわせて、報告書には、社会保険制度は非常に国民に身近なものであり、国民は日常生活のさまざまな場面で社会保障の給付を受け、サービスを利用しているにもかかわらず、また、少なからぬ負担を税や保険料の形で負担しているにもかかわらず、その全体像がどうなっていて、制度の改革が個々人の生活にどのように影響するのか、給付、負担両面での当事者としてきちんと関心を持って議論に参加する場面はなかなかなかったのではないだろうかとの指摘がなされています。
私たちが社会保障制度を知る機会は、実際には大人になってからと言えます。例えば、年金制度においては、会社員や公務員は保険料が給与天引きのため、本人とその家族は知らずのうちに年金制度に加入しているというのが現実であると思います。
一方、法人組織ではない自営業者の場合、個人手続により国民年金に加入し、保険料の納付を継続していなければ、最悪の場合、無年金になるおそれもあり、会社員からの転職時や失業時も同様です。
私が地域を回っていて御相談をいただく中で、無年金や低年金の方にお会いすることがあります。年金制度に対するそれまでの認識不足や手続の失念などの理由により、人生の晩年期において生活面で苦労されていらっしゃることをお聞きします。もし若いときにきちんと制度を理解していたらとの後悔の言葉も耳にするのです。言いかえれば、社会人になるまでに基本的な相互扶助としての仕組みや制度についての正しい知識を得る機会も少なかったのではないかと考えます。
厚生労働省の調査発表によると、保険料支払いの失念、滞納、失業などの理由以外に、意図的に支払わない個人的理由も含み、今後、全国で約118万人が無年金者となる可能性があると推計しており、これと連動して、生活保護など公的扶助制度対象者も増加傾向にあります。
そこで、健康福祉局長にお尋ねいたします。現在の国民年金の保険料納付と受給についての基本要件と、保険料を納付しないことのデメリットについてお答えください。
今、例として年金について取り上げましたが、失業や疾病、不慮の事故など、人生の途上におけるリスクは誰しも起こることです。リスクをいつも気にしながら生活している人はいませんが、いざというときに困らないためにも、全ての人が社会保障の正しい知識と認識をあらかじめ持っていることは重要ではないでしょうか。
そこで、教育長にお尋ねいたします。子供のころから正しい知識の種を植えておくということは大変に重要であり、学校での学びを通じて学齢期に合った教育により、大人になるまで継続的に理解を深めていくことで、段階的に社会の一員としての意識が醸成され、自身の将来のための大切な礎が形成されるのに役立つものと考えます。
名古屋市では、中学校の公民の時間に社会保障制度について学習していますが、少しでも早いうちから医療や年金制度の相互扶助の精神、支え合う心を育むためにも、小学校からの学習開始はできないのでしょうか。教育長の御所見をお伺いいたします。
今年度の国の予算では、社会保障給付費109.5兆円に対する財源のうち、約6割の60.6兆円が保険料で賄われることとなっており、相互扶助の柱である保険料は重要な役割を果たしていることがわかります。国民皆年金制度を維持していくため、本市では、これまで加入の働きかけをどのように行ってきたのか、健康福祉局長にお尋ねし、私の第1回目の質問とさせていただきます。(拍手)
◎交通局長(三芳研二君) 市営交通事業経営健全化計画への取り組みと名古屋圏における公共交通網の今後の展開について、2点のお尋ねをいただきました。
まず、1点目の市営交通事業経営健全化計画の進捗状況と今後の見通しについてでございます。
バス事業は、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づきまして、平成20年度決算において、資金不足比率が55.3%と、経営健全化基準でございます20%以上でありましたことから、平成28年度までに資金不足比率を20%未満とする経営健全化計画を平成22年3月に議会の御議決をいただき、策定をいたしました。
また、地下鉄事業は、法の規定による算定上の資金不足は発生していないものの、平成20年度決算におきまして、実質資金不足2375億円を抱え、極めて脆弱な経営基盤でありまして、経営健全化を図る必要がありましたことから、バス事業とあわせまして、経営健全化計画を策定いたしました。
平成25年度予算では、バス事業の資金不足比率は21.7%と、計画と比べまして13.4ポイントの改善を予定するとともに、地下鉄事業の実質資金不足額は2627億4900万円と、計画に比べまして20億5700万円の改善を予定いたしておりまして、これまでのところ、計画の進捗状況は順調であると認識をいたしております。
しかしながら、運輸収益や原油価格と関係する燃料費、あるいは動力費など、社会経済情勢に影響されます不確定要素がありまして、今後の経営状況の見通しは楽観できないと考えております。
今後も、市営交通として市バス、地下鉄の一体的なサービスを安定的に提供し、市民の移動手段を確保する役割を果たしていくため、両事業の健全な経営基盤を確立することを目指しまして、計画目標が早期に達成できるよう一層努力をしてまいります。
次に、民間鉄道事業者との連携についてでございます。
この地域の民間鉄道事業者と連携した利用促進策につきましては、より広い範囲のお客様を対象とすることができることから、従来のお客様に加え、新たな利用者の増加が期待できるものと考えているところでございます。
本市では、昨年夏ごろから民間鉄道事業者との協議を開始したところでございまして、具体的な方策を検討している状況でございます。
現時点におきましては、実施に向けた課題の整理、対応等の検討に時間を要するものもございますが、例えば、民間鉄道事業者が実施いたします駅周辺ハイキングと、交通局で実施をしております駅ちかウォーキングとのタイアップにつきまして、本年秋ごろの実施を目指して調整を進めているところでございます。
今後も、地域の民間鉄道事業者との連携につきまして、他地域の方々が名古屋の公共交通機関を利用したくなるような方策づくりを目指しまして、検討してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
◎健康福祉局長(長谷川弘之君) 国民皆保険・皆年金制度の理解に向けた本市の取り組みについて、2点のお尋ねをいただきました。順次お答えさせていただきます。
まず、国民年金の受給要件でございますが、国民年金は、自営業の方たちだけでなく、厚生年金加入者や共済組合加入者とその配偶者など、全ての人に加入していただき、働く世代が納める保険料と国からの負担金を財源として、全ての人に共通の基礎年金を支給し、高齢者の方々の生活を支えるという世代と世代の支え合いの制度でございます。
国民年金は、20歳から60歳までの40年間保険料を納めていただくものでございまして、現在、国民年金を受給するためには、原則として、保険料を納めた期間や免除された期間が25年以上必要となっております。保険料の納付期間が足りない場合には年金を全く受給できないことがございます。
また、保険料を納めていない期間がございますと、その期間に応じて受給できる年金の額が減少いたします。
現在、40年間保険料を納めた場合、年額78万6500円受給いただけるわけでございますが、例えば、30年間納めて10年間分の保険料を納めていない場合は、受給額は満額の40分の30、4分の3となりまして、年額58万9900円となり、満額の場合と比べて年間で約20万円減少するものでございます。
さらに、障害者となった場合に、障害基礎年金の受給という制度がございますが、保険料の未納が原因で障害基礎年金が受給できないと、こういった場合もございます。
このように、国民年金の保険料が未納となりますと重大な弊害が生じる場合がございます。国民年金の加入者の方には、支え合いの制度であるということとあわせて、こういった点も十分御理解いただき、保険料を納めていただきたいと考えておるところでございます。
次に、加入の働きかけについてお尋ねをいただいております。
何度も申し上げますが、国民年金は世代と世代の支え合いの制度でございまして、全ての方に御加入いただく必要がございます。
そのため、本市では、制度を説明するためにパンフレットを独自に作成するなど、市民の方々に国民年金の制度を御理解いただけるよう努めているところでございます。
そのほかにも、広報なごやや公式ウエブサイトなどに記事を掲載して、加入手続を御案内しているところでございます。
以上でございます。
◎教育長(伊藤彰君) 小学校から社会保障制度の学習を開始できないかとのお尋ねをいただきました。
将来の社会を担う子供たちが小学校から中学校、高等学校へと発達段階に応じまして学習を進め、社会の一員として相互扶助の精神を身につけることは大切であるというふうに考えております。
現在、中学校の社会科では、社会保障制度の基礎的な内容を学習し、高等学校の公民科では、医療、介護、年金などの保険制度の学習を通しまして、社会保障制度の意義や役割を考えることができるようにしております。
一方、小学校の学習指導要領では、医療保険や年金制度について記載されていないため、小学校において、教科の授業で取り上げることは今の段階では難しい状況にはございますが、今後、総合的な学習の時間などにおきまして、小学生にも、医療保険や年金制度等に興味、関心が持てるような学習教材の作成、活用や、出前授業の実施等を検討してまいりますので、御理解賜りたいと存じます。
◆(金庭宜雄君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
まず、交通局の関連でございますけれども、経営健全化計画をやっぱり着実に進めて、身近な公共交通機関をきちっと安定したものにしていくということを目指したときには、やっぱり新たな展開、また、新たなチャレンジというものが、これは絶対必要になります。名古屋圏の公共交通事業のパートナーとして、民間事業者と相互のパートナーのサービス向上を目指していくということで、民間鉄道事業者との協議を計画的に進めていただくことを要望しておきたいと思います。
先ほども申し上げましたように、名古屋圏においてはさらなる交通整備というのが非常に求められております。守山区においても人口増加もありますし、ほかの緑区もそうです。こういう人口増加地域は交通網の充実を求める声というのが非常に高まっているというふうに私は実感をしております。
エンターテインメント性の高い施策の推進を掲げたり、けものを走らせたり、あるいは酒飲み特区とか、浮世離れしたのんきなお殿様のようなことを言っていては困るんですよ。市民の気持ちに寄り添った施策が優先されるべきであって、それこそが本物の庶民革命であるということを指摘しておきたいと思います。交通局にはぜひ頑張っていただくことを要望しておきたいと思います。
それから、教育長さんのほうから、小学校での学習機会を検討するという答弁がございました。こちら、中学校の教科書を借りてまいりました。公民の教科書。こちらに社会保障についてるる書いてあるんですね。中学校3年生のときに勉強するというふうな内容になっておりますけれども、これを見ても非常に難しいんです、とっても難しい。なかなかこれを理解するというのは、中学校のときにいきなりこの導入があるのは難しいなというふうに思います。
これが小学校6年で学ぶ社会の教科書になります。こちらのほうでは、社会保障というよりも税金ということで、これを導入しているところなんですね。この中に、社会保障、助け合いの心というのを入れ込みながら、さまざま学習を深めていただけるということでございますので、一つは、小学校、中学校、そして高校と学びを重ねていく中で、その後に就職、あるいは進学という進路をたどるわけでございますけれども、進学の場合は大学のときに二十を迎えるわけなんですね。そのときに免除の手続が必要になるという、そういう知識もやっぱり必要になります。特に親元から離れて大学に行かれた場合は、その手続を自分でやらなくちゃいけないとか、さまざまあると思います。
国民年金の加入年齢が二十でありますので、このときに加入手続や保険料の納付、それから免除の手続、こういったことを継続的に教え込みながら働きかけるということは非常に重要な観点であるというふうに私は思います。二十の節目に各地で成人式が開かれます。この成人式のタイミングを捉えて、広報を提案させていただきたいと思います。
健康福祉局長さんに再質問をさせていただきますけれども、例えば、成人式の御案内というのが全成人の方に送付をされますけれども、必ずそれを見ると思います。その中にこの広報というものを入れ込むと、こういったことでのいわゆる周知、こういったことは検討できないでしょうか、お答えください。
◎健康福祉局長(長谷川弘之君) 国民年金に関しまして、成人式の御案内を活用した国民年金の広報ができないかという再度のお尋ねをいただきました。
国民年金への加入年齢でございます20歳の方に国民年金への加入を働きかけるということは大変大切なことだと考えております。
そのため、成人式に合わせまして、1月に広報なごや、さらには新聞に「20歳になったら国民年金」と、こういった見出しで記事を掲載してきたところでございます。
議員御提案の新成人の方にお配りしております成人式の御案内を活用した広報につきましても、関係局と協議をして実施してまいりたいと考えております。
◆(金庭宜雄君) ありがとうございます。
一連の流れがあって、そういった広報があると、さらにきちっとした加入手続、あるいは免除ですとか、そういった手続が図られるというふうに期待しておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
昨年8月に社会保障制度改革推進法が施行されました。これを受けて、新たに社会保障制度改革国民会議が設置されまして、今後のあり方への検討が現在も進行中でございます。
制度の中身については今後の議論が待たれるところではございますが、質問の冒頭に申し上げたとおり、社会保障制度は国民生活を支える最も重要な基盤でございます。そのためにも次世代育成の観点から教育が最も重要であるということを申し上げたいと思います。
また、この教育環境の整備に全力を尽くしていただくよう要望いたしまして、質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)